[Intro] (Paper rustling fast, rapid mechanical ticking, dry brush strokes) 開く、めくる、引く、探す。 紙魚(しみ)の這う音、黒いインクの群れ。 [Verse 1] 総画数、部首、四角号碼(しかくごうま) 整然と並ぶ二万の秩序 木(き)偏に、日(ひ)、月(つき)、火(ひ)、水(みず) 規律正しく檻に収まる黒い骨組み だけど 視線を一点に落とした瞬間 紙面がわずかに 軋みはじめた [Pre-Chorus] (Rhythm stutters, glitchy clicks) 横、縦、払い、ハネ、点。 これは「永」か? ただの交差点か? 意味が、音が、剥がれ落ちていく。 [Chorus] 点、線、面、分解! 漢和辞典が融解する! へんとつくりが喧嘩して 左へ右へと裂けてゆく! ただの黒い虫の足跡 ただの幾何学の断片 何千年も縛った意味の鎖が パチリと弾けて 崩れ去る! (Gestaltzerfall in black ink) [Verse 2] [Fast spoken word, frantic beat] 「鬱」の森の木々が逃げ出す 「若」の草冠が天へ昇る 「借」の昔が他人になりすます 頁をめくれど、めくれど 見知らぬ記号の残骸ばかり 読めない、読めない、読めない! これは文字じゃない、ただの図形だ! [Bridge] (Tempo drops, heavy distorted bass, whisper echo) 意味飽和。 セマンティック・サティエーション。 声に出すほど 空っぽになる。 「字」って、なんだっけ? 「私」って、どう書くんだっけ? (Silence with a lone metronome click) [Chorus] 点、線、面、崩壊! 辞書の宇宙が破裂する! 五千年の体系が 机の上でバラバラに散る! 白と黒の隙間に落ちて 意味の墓場を漂うだけ もう二度と 元の形が思い出せない! [Outro] (Pages violently flipping, chaotic typewriter keys jamming, tape stop) 点。 払い。 ……それだけ。 (Heavy slam of a dictionary closing)