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名前の無い夏

ひぐらし鳴く夕暮れ 遠雷が空をほどく 名前の無いまま 夏が揺れていた つないだ指を覚えてる 汗ばんだ手も気にせずに 言葉にすれば消えそうで ただ黙って絡め合った 揺れるアスファルトの向こう 陽炎みたいな横顔 友達にも戻れなくて 恋人とも言えなくて 愛してる 胸の奥では 何度も叫んでいたのに 君の答えを聞いたなら この夜が壊れそうで この想い 空に咲く花より高く ひりつく夜より熱く あなたを愛してる 夏の先まで 一緒にいたいと願うほど 名前の無いこの時間が 胸を焦がしていく 覚えてる 風鈴だけが響く部屋 熱を帯びた風さえも 息をひそめていた 朝が来るたび隠して 何もなかった顔をして また君の声を 待っていた 正しさを 探すふりして 本当は答えが怖かった 君の瞳の私が ただの夏ならどうしよう 愛してると 言えないまま 抱きしめて 抱きしめて 溶け合うくらいに 近づいたのに 君の心だけ 触れられなかった まだ手を離さないで まだ腕をほどかないで もっときつく抱いて 今だけでいいから 風鈴が止まる 胸の奥で何かが 壊れていく この想い 空に咲く花より高く ひりつく夜より熱く あなたを愛してる 答えを知らずに 秋へ行くくらいなら 壊れてもいい 消えてもいい 名前の無い夏が 終わってしまう前に 君の気持ちが知りたくて 私は口を開いた ひぐらし鳴く夕暮れ 遠雷はもう遠く 君の名前だけ 夏に残っていた