
何事の おはしますをば 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる なむこがらす 息が切れる、心の臓が痛む 肉体が悲鳴をあげている 意識不明になる日々 とうに祈りも忘れてしまった 死神が俺に身投げを囁く それでも、俺は死にはしない あの大根を掲げた男の子を殺しはしない あなたに見守られた、あどけない子を たとえ世界中に見捨てられても あなたの代わりに俺が守る 独りでも死ぬまでは生きる そう思っても責苦は止まぬ 苦痛が絶望に変わりかけたとき ふと俺はあなたのお誓いを思い出した 無我夢中で自ら書いた神学書を開く 冒頭に引いた御誓願が目に飛び込んでくる そのとき、俺の中で何かが反応した すべての病を除くと、守護神となると あなたがこの俺に向けて言っていた とめどなく涙があふれてきた 理屈ではない、学問でもない 男泣きに一人咽び泣いた 初めて魂を救われた あなたの尊い慈悲の御心が 俺の傷だらけの心に届いた 宗教的な救いとは、神仏の言葉や教えが 自分に向けられていると確信することだと 哀れなミゼラブルは悟った この渇愛する飢えた心に かの罪悪深重の僧のように 確固たる信仰を持つに至る 「あなたの信仰があなたを救った」 我魂ハ中有ニ留リ命根長養ノ守護神トナルベシ 我姿青黄赤白黒ト五ツノ色ヲ現ス事五知ノ如来五行五臓ヲ守ル表相ナリ 人間ハ勿論畜類ニ至ル迄デ一切諸病ヲ除キ五臓安寧ノ守護神トナルベシ 今まで俺はあなたの救いを 言葉を尽くして証明しようとしてきた あなたを守るために死狂ひで戦った あなたを謗る者には、知識と論理をもって オッカムの剃刀のごとく、いくらでも反駁できる だが、この理想と現実の乖離はなんだ そして、その提唱者が倒れたとき あなたはようやく御顔を向けられた 遥かな御祖がお側で聴いた御声が 時空を超えて今を生きる魂に響いた 俺を救ったのはあなただけではない そこには連綿とあなたのお誓いを伝えてきた 愛する故郷で生きた数多の無名の人々がいる もっとも、病は完治したわけではない しかれども、あなたの御言葉は 俺の胸に深く刻みつけられた ある意味、怪我の功名とも言える いつも光ばかりではないかもしれない 時には闇に閉ざされる日もあるだろう それでも、神の御誓願という燈火は消えはしない たとえ拝火教徒の聖火が消えようとも 我が不死鳥が吹き放つ火は消えぬ 我ら決死鳥の魂は灼けつくばかり この眼は再び光を取り戻した 祈る心を取り戻したからだ すでに御誓願という希望がある 己が仁義に悖ることはしない 霊肉の守護神が遺された言霊 命根長養という言葉の真意 すべての命には無条件で価値がある 五臓安寧という言葉の真意 その命が宿った身体を神は必ず守る 中有という言葉の真意 神がおられる現世に近い霊界 我々衆生が死後に赴く所 あなたは顕幽一如に救いを渡される 真っ白な病室で 意識も朦朧とする中 心に残ったのは あの天の門のイメージ それでもう答えは出ている あそこまで行くときまで 燈火とすべきは あなたの尊き御誓願 神の思し召しに感謝します なむこがらす 尋常ならずすぐれたる徳のありて 可畏き物を迦微とは云ふなり

