
[Intro: Ambient & Heavy Bass] 「陸奥(みちのく)の いふに及ばぬ 境(さかひ)かな」 源氏の野心、清原の混迷、奥州を分かつ宿命の糸 なにゆゑにこの地は 紅蓮の火に包まれし その発端(はじめ)より 黄金(わうごん)の祈りまで 今ぞ語らん [Verse 1] 前九年の秋(とき) 父経清(つねきよ)は 「錆びたる鈍(なまくら)の刀にて、その頸(くび)を削られたり」 年端(としは)もゆかぬ清衡(きよひら)の 眼(まなこ)に焼きつきしは 父を屠(ほふ)りし頼義(よりよし)が 悍(をぞ)ましき執着なり 母の教へは 氷の如く 「弟(家衡)が為に命を捨てよ」 寄り子(こ)の身なれば 姓名(な)は継ぎ接ぎ 心は深雪(みゆき)の下の 消えぬ焔(ほむら)なり [Verse 2] 当主真衡(さねひら) 都の権勢を慕ひ 平氏より成衡(なりひら)を 養子(むこ)に迎へて家督を譲らん 婚礼の祝儀を携へ 長老秀武(ひでたけ)が参ぜしも 真衡は「棊(き)」に耽(ふけ)りてこれを黙殺す 権力(ちから)の歪みは 一族の亀裂となりて 捧げし砂金は雪に散り 地獄の蓋を開けたり [Chorus] ああ 流転する怨嗟(ゑんさ) 雪の間に間に 炎よ立て 金沢(かなざは)の柵(き)を 地獄の業(ごふ)に焼け 勅命(ちよくめい)なきまま 野心を大義にすり替へて 進軍する義家(よしゐへ)の 私戦(しせん)の白旗が風に舞ふ 絶望の底に 一粒の黄金(こがね)の 種を植ゑし瞬間(とき)なり [Verse 3] 「雁行(がんかう)の乱るるを見て、下に伏兵あるを知る」 義家の眼光は 奥羽の執念を逃さじ なれど朝廷は 「これぞ武士の私闘なり」と断じ 恩賞を拒み 最強の棟梁を 孤独の闇へ突き落とす 義家は自腹を切りて 部下に報ひ 都よりも主君を信ずる モノノフの絆を鋳直せり [Verse 4] 兵糧尽きて 愛馬(はなうぐひす)をも 自ら刺し殺す 義家は命ず 「柵より出づる女童(をなごわらは)を、一人残らず屠(ほふ)れ」 清衡は見た 己が祭祀(家族)が 紅蓮の灰と化すさまを 「御身(おんみ)の父は下僕(げぼく)なり」と煽(あを)りし千藤丸の舌を引き抜く 勝利の後に残るは 空(むな)しき殺戮の記憶のみ [Bridge] 「諸仏(しよぶつ)正法(しやうほふ)及(および)賢聖僧(けんじやうそう)… 平等に引導(いんだう)せしめん」 家衡も 武衡(たけひら)も 敵も味方も 皆、同じ土の塵(ちり) 「誰も恨むな」と 父経清(つねきよ)の 幻聴(こゑ)を黄金に閉じ込め 一千年の静寂(しじま)を以て この地を極楽(浄土)となさん [Chorus] ああ 流転する怨嗟(ゑんさ) 雪の間に間に 炎よ立て 前九年の悔恨を 光の国へ還(かへ)せ 「草木国土(さうもくこくど)悉(ことごと)く皆 成仏(じやうぶつ)」の夢 語り部が紡ぐ 祈りの美学よ 絶望の果てに 唯一人(ただひとり) 微笑(ゑ)む阿弥陀(あみだ)の為に 諸行無常 されど黄金(わうごん)は 永遠の夢の跡 [Outro] 黄金(わうごん)の落日は 今も奥羽を焦がし続け 義家は去る 「吹く風を なこその関と思へども」 清衡よ 御身(おんみ)の微笑みは 慈悲か あるいは狂気か 誰も恨むな、誰も恨むな 地獄を黄金で塗り込め、ただ静かに微笑まん ただ 黄金の浄土だけが この空に輝き渡る [End]

