
旅先で聞いた 「一番好きな国は?」 インドを旅して 出会った旅人 「パキスタン!」って 何人も言う 爆弾、テロ ニュースのイメージ 行きたい気持ちと 消えない恐怖 死んだらどうしよう 遺書まで考慮 それでも行きたい 止まらん衝動 父に、話したら まさかの返事 「俺も行きたいわ」って なんやその感じ 両親そろって 「楽しんでおいで」 怖がってるの 私だけみたい いざパキスタン 女ひとり旅 ペシャワールの街 女性を見かけない 「外に出る女は 売春婦だけ」 そんな言葉まで 耳にとびこんで 髪をおおっても 目立つ外人の私 立ってるだけで 人が集まる ジロジロジロジロ ぐるりと囲まれ 私アイドル? チャウチャウチャウ! 通りすがりの人が ジュースをごちそう 宿探しまで 手伝ってくれた ホテルを何軒 回ってみても 女ひとりじゃ 泊めてもらえない 宿なしの夜 途方に暮れてた そこへ男が 「ついてこい」って 「泊まるあてなら 俺にある」 目の前に来たバス 「乗るぞ、さあ」 行き先不明 知らない道 乗ったバスから 始まる旅 たどり着いたのは アフガン難民の家 見知らぬ私を 温かく迎えた 昨日まで他人 今じゃ屋根の下 言葉を超えて 伝わる温かさ 翌日また宿なし 「うちにおいで」 見知らぬ男の車に 乗り込んで 40分の道 募る不安 もう運に任せるしかない たどり着いた先で 家族が迎える 高い壁の中 親戚が暮らす 一泊のつもりが 1週間も過ごす ちょうどラマダン 家族と断食 毎朝4時に起こされ 寝ぼけて朝食 ギトギトの卵に チャパティ頬張る 日が暮れるまでは おあずけを食らう 家のすぐ横 爆撃の跡 崩れた校舎 庭では射撃訓練 家には銃 それが日常 「日本人がいると危ない」 「この敷地から 外に出るな 北へ向かいたい そう話したら 「その道は危険だ」家族が言った 「あなたは娘 私たちの家族」 危険な道には 行かせられない 買ってくれたのは 飛行機のチケット 「これで行くのが 一番安全」 娘と呼んで 守ってくれた命 あの優しさは 今も忘れない たどり着いたのは カラーシャの谷 同じパキスタン? まるで別世界 色鮮やかな民族衣装 緑の瞳に 長い三つ編み 岩の谷間に きらめく小川 男も女も 輪になって踊る だけどある晩 外国人がさらわれ 村の外国人 全員退去 桃源郷を後に また次の旅へ フンザの谷 ナウシカの世界 お金を使わず 旅した日々 「食べていきな」 「泊まっていきな」 頼んでもないのに 差し出す手 「乗っていきなよ」 そのひとこと 旅人たちが 好きな理由 少しわかった 気がしたんだ 客人もてなす アッラーの教え 迎える心を 神が見てる あの旅でもらった 名もなき愛 今も私の中に 生きている 旅人見かけりゃ 「うちにおいで」 ご飯も寝床も 今度は私から もらった優しさ 次の誰かへ Pay it forward 終わらなき旅 あの村の名前 今もわからない 地図を見たって たどり着けない 一週間 みんなに囲まれ 初めてなのに 懐かしかった 今でも心に 残ってる家族 もう一度会えたら 伝えたい あのとき本当に ありがとう パキスタン。 遺書は……書かんでよかった。 いや、ほんまに。

