
商業施設の奥に もうひとつの夜 木の匂いのしない 田舎の廃屋セット 蜘蛛の巣も埃も きれいに並べられ 不気味に整ったまま 私を待ってる ライトが息をひそめ 足音だけが台本になる 私はフォトダブル 似せた顔の影 誰かの名場面を なぞるための体 螺旋の途中で 聞き取れない声 「ここにいるのは 誰?」って 先に私へ言う 狭い階段を降りる 地下八階ぶん 周りの演者たちが ちらりと目を逸らす 演者なのか まぎれた何かなのか 笑ってるのに 声だけが欠けてる 最下層 ひらけた空間 畳の海に きちんと置かれた寿司 ふたりの鈴が 低く鳴る 私はフォトダブル 私はフォトダブル テイク、ワン 息をする 畳がきしむ 私だけが まだ台詞を持たない
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