これは、ハシビロコウの肖像。 大きなくちばしと、動かない視線。 静かに立っているだけなのに、そこには長い時間が流れている。 急がない。 騒がない。 ただ、自分のいる場所を、まっすぐ見つめている。 羽の一枚一枚に、乾いた空気の色がある。 その姿は少し不器用で、けれど不思議なほど堂々としている。 私たちは、いつも何かを追いかけている。 予定、知らせ、次の約束。 でも、この鳥の前では、時計の針さえ少し遠慮する。 立ち止まることは、おくれることではない。 見ないふりをしていたものを、もう一度見るための時間なのだ。 ハシビロコウは、今日も静かにそこにいる。 そして私たちも、ほんの少しだけ、静かになれる。



