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Wind on the Water (Japanese Edition)

STUDIO

ネオンの破片を トランクに詰めて ハイウェイを降りた V8の老兵が 喉を鳴らし 乾いた砂煙を 巻き上げる 十数年ぶりの風は なぜか少し 冷たかった 週末のガレージ 甘いコロンと 大音量のラジオ ステップを踏む足と 重なる視線 直感だけで すべてを信じられた夜 手に入れたはずの答えは いつの間にか 薄れていた 通りを行き交う人は うつむき 手のひらの板を 指先で撫でている 数字と記号で測る 誰かの値打ち ガラス越しに並ぶテーブルは 昼下がりも 席を埋めない あの熱病が通り過ぎてから 世界はずっと 息を潜めている 耳慣れない言葉が 路地をすり抜ける かつて鉄を打つ音が響いた広場は 赤茶けた蔦に覆われ フェンスの奥で 口を噤む 見覚えのあるはずの景色が 遠い異国の絵葉書に重なる 肌の温もりを遠ざけ 仮面を被った影たちが 光の網の中で すれ違う ここにも あそこにも 私の座る椅子は 残されていない 舗装の切れた先 木立のトンネルを抜ける 木漏れ日の底に広がる 青い水 キーを捻れば 咆哮が止まり ただ 梢のざわめきだけが落ちてくる 誰もが胸の奥に 隠しているはずの場所 錆びたボートの底に溜まった雨水に 秋の空が 映り込む 波紋がひとつ 静かに広がり 櫂を握る手のひらを あの頃と同じ風が 撫でていく 息を吸い込んで ただ 水面を見つめている