
十年遅れの「もうすぐ」#spaceport
"リラの家、建てる場所が決まったよ。 海の北側にある丘。夜になると、二つの月が海に映るんだ。 一階は台所と、大きなテーブル。 君が描いた、あの広い窓もつけよう。 屋根は俺が直すから。そこだけは任せて。 この探査が終わったら、結婚しよう。 もうすぐだよ。" [Verse 1] 消したはずの名前が 受信欄のいちばん上 送信日付は十年前 息を吸う その癖まで 小さなスピーカーから 昨日みたいに聞こえて [Pre-Chorus] 星と星の闇を越え 君の声だけ 歳をとらずに 帰りを待たなくなった部屋へ まだ続く話を連れてきた [Chorus] 十年遅れの「もうすぐ」が 胸の奥を 突き破る 建てなかった家の窓に 私の影まで見えてしまう 今の指輪を握る手が どうしてこんなに震えるの [Verse 2] 隣の部屋で眠る子の 毛布をかけ直したばかり ふたりで選んだこの家に 君の声だけ 置き場所がない 再生を止めようとして 指が画面の上で迷う "子どもは二人って話してたけど、 あのテーブルなら、もう一人座れるなって思って。 ……先にテーブルで決めるなって、君に怒られそうだな。 朝は俺が先に起きるよ。 あそこ、冬が長いから、小さな温室も作ろう。 休みの日は、家族で海まで歩いてさ。 君となら、そういう毎日がいい。" [Bridge] あの海の色を覚えてる 図面の端で揉めた階段 笑いながら引き直した線 その先へ 行くはずだった [Final Chorus] 十年遅れの「もうすぐ」に 返せる明日は もうなくて 眠る子を起こさないよう 袖に顔を押しつけた 君のいない日々を生きた私が 君の声で 泣き止めない "じゃあ、図面の続きは帰ってから。 あの階段、今度こそ二人で決めよう。 もうすぐ帰るよ。"

