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赤い土の記憶(エペクウィックの涙)

V5.5

[Intro] (遠くから吹き付ける冷たい風の音。そこに、アイヌのムックリの「ビーン、ビンビン」という震える音が重なる。少し遅れて、地鳴りのようなミクマク族のハンドドラムが、心臓の鼓動のように一定のリズムで打ち鳴らされる) [Verse 1: Spoken Word] (音楽が少し音量を下げ、落ち着いた老人の声が語り始める) おや、こんにちは。驚かせてすまないね。 見てごらん、私の靴を。この島の土は、本当に見事な赤色だ。 でも、君は知っているかな? この土がなぜ、これほどまでに赤いのかを。 これはね、ただの鉄分や粘土の色じゃないんだよ。 この一粒一粒にはね、何千年も前からこの島を「エペクウィック」と呼んで、 森や精霊と共に生きてきた人たちの、祈りが染み込んでいるんだ。 [Verse 2: Spoken Word] (ドラムのリズムが少しずつ力強くなっていく) そしてね、その後に海を越えてやってきた人たちの、 血と汗と……そして「騙された」と気づいた時の絶望の涙も、 全部この土が吸い込んでいるんだよ。 君たちが今、誇りを持って住んでいるこの美しい島。 かつてここには、文字を持たないけれど、 自然と完璧に語り合える「森の人たち」がいた。 けれど、遠く離れた国の王様や貴族たちが、 地図の上に勝手に「くじ引き」で線を引いて、彼らの居場所を奪ってしまったんだ。 [Chorus] (語りが止まり、ネイティブアメリカンフルートが泣くような旋律を奏でる。ミクマクの鼓動とムックリの震動が最高潮に達し、言葉にならない詠唱のようなコーラスが重なる) [Verse 3: Spoken Word] (音楽が再び静まり、内省的なトーンで) それはね、私の国の北の島……北海道という場所で起きた、 アイヌという誇り高き人たちの物語と、悲しいくらいにそっくりなんだ。 彼らもまた、ずる賢いやり方で宝物を奪われ、土地を追われた。 パイオニア、開拓者……。 歴史の教科書では、そうやって新しい土地を見つけた人たちを英雄として讃えるけれど、 その足元には、必ず「消された人たち」の涙が流れている。 [Verse 4: Spoken Word] (優しく、未来に託すような声で) いいかい。私が今日、この泥だらけの靴でここへ来たのは、 その消えてしまった「涙の粒」を、もう一度歌にして、空へ返してあげるためなんだ。 君に、その物語の続きを話してもいいかな? [Outro] (フルートの音が遠ざかり、最後はミクマクの太鼓とムックリの音がシンクロしながら、静かに、しかし確かな余韻を残してフェードアウトしていく。最後に風の音だけが残る)