
カーテン越しの青で 部屋の輪郭だけ先に起きた テーブルの端に伏せたままの 画面はまだ海みたいに暗い 昨日の続きみたいな顔で 駅までの坂をおりていく 飲みきれなかった水の味と 言いそびれたことだけが残る あの履歴は ちゃんと消したはずなのに 予測変換のすき間で まだ迷ってる指 明け方のログにだけ やさしい声が残ってるよね 返さなくていいような 短い文ばかり選んでた 白くなる街の手前で わたしだけ夜に残ってる きれいごとなら似合うけど ほんとのことは少しださいから 黙ったままでいた コンビニの灯りはいつも 誰のことも知らないふりだね あたためますか、の一秒だけ 今日を預けた気がしてしまう ホームの端で風を受けて 前髪ばかり気にしていた 泣くほどでもない痛みほど スニーカーの底にひっかかる 似てる香りを 遠くでひとつ見つけても 追いかけるほど若くないし 笑えるほど醒めてもない 明け方のログにだけ わたしの熱が残ってるよね 朝になればぜんぶ インクみたいに薄れてゆくのに 白線の内側から 見ていただけの未来がある 正しさなんていらないのに 間違う勇気も持てなくて つま先だけ見てた 改札のノイズの中 最後まで普通だったよね それがいちばん痛いって 言えるほど子どもじゃなかった 似合わないほど静かな朝 ポケットの中で爪を立てる 泣くには少し遅すぎて 笑うにはまだ青すぎた 空っぽになったのに ほどけない癖が残ってるよね 消したいはずのページほど 指先だけで開いてしまう 夜が明ける前に わたしはきっと気づいてる 忘れることじゃなかったね ただ、もうそれを呼ばないって 朝の光で思い出す

