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赤るく口紅

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V5

[Intro] 薄い赤 角の新しい湯 短い信号音 湯気が風にのる シャッターの影がのびる タイルの匂いが湿る 紙コップのぬるい水 インクが指にうつる [Verse 1] ふたりが入ってくる タイルがしっとり光る 軽いサンダルの音 小さく笑う声 わたしは外で立ち止まる 紙コップのぬるい口あたり その子の唇 すごくかわいい 淡い色のリップ 乾きかけ ふちだけ少しつや 前歯に光が拾う 笑ったあと すぐ戻る形 呼吸に合わせて ふくらむ少し まつげに湯気が触れる [Pre-Chorus] ゆげが街をやわらげる 交差点の白い線が やっと呼吸をそろえる バスのドアが静かに閉まる 青い矢印がゆっくり点る 胸の鼓動が きゅっと合う 息をのみ かかとを寄せる [Chorus] その唇に 赤がぬれる その唇に 朝が映る こころの端がほどける 声にならないまま 指先がぬるくなる 近くなる息の輪郭 朝の匂いが 近い [Verse 2] 券売機の赤い点 ドアの曇りに指のあと 濡れた前髪がゆれる タオルの端をかむ わたしはガラス越しに ただの景色みたいに立つ それでも世界は 少しやさしい 小銭の触れ合う軽い音 床の水たまりがゆっくり動く 掲示の紙が角でめくれる 朝の光 斜めにさす ドライヤーの風が遠くで鳴る [Bridge] 言葉は足りない 足音だけがリズムになる 見過ごすふりで 目だけが追いかける 袖口の糸がほどけかけ ポケットで手が汗ばむ 信号の音が二度鳴る 時計の針が一つ進む [Chorus] その唇に 赤がぬれる その唇に 朝が映る こころの端がほどける 声にならないまま 紙コップの水を飲み干す 胸の奥で 静かに反響(はんきょう) 今日の歩幅が 決まる [Outro] 信号が青になる 湯気は薄くなる 歩き出した足 まだ柔らかい朝 靴底がアスファルトを撫でる 背中に少しだけ温度が残る 角を曲がるまで ふり返らない 唇の形だけ 目に残る