
恨昏痕閽 陽の雨が降る 恨昏痕閽 嫁入りが来る 日暮れ前の 山道に 赤い唐傘 ひとつ揺れた 晴れているのに 雨が降る 狐火だけが 道を照らす 白い骸に 紅を差し 笑う花嫁 顔隠す 見てはいけない 呼んではいけない 鈴の音だけが 後を引く あちらの森で 誰かが泣く こちらの村で 犬が吠える 通りゃんせ 通りゃんせ 戻る道は もうないよ こんこん 狐の嫁入り 雨に紛れて 名前を隠す こんこん 狐の嫁入り 赤い花びら 唇にして 晴れた空から 涙が降るよ 嫁車は 闇へ行く 昔々の 約束を 忘れた人が 村にいた あの子を返せ あの日を返せ 乾いた喉で 森が泣く 嫁の姿は 美しく 影の尻尾が 三つ揺れる 白い指先 手招いて あなたもこちらへ おいでなさい 傘の下には 顔がない 笑う口だけ 紅滲む 通りゃんせ 通りゃんせ 次の嫁は 誰でしょう こんこん 狐の嫁入り 雨の向こうで 太鼓が響く こんこん 狐の嫁入り 知らぬふりして ついておいでよ 晴れた空ほど 嘘をつくから 濡れたままで 夢を見る 赤い 赤い 花の奥 白い 白い 骨の歌 誰も 誰も 見てないよ だから だから 連れていく 宵闇様 お山の神様 この子をどうぞ お召しませ 嫁入り行列 ゆらゆら揺れて 人の世を 抜けてゆく こんこん 狐の嫁入り 雨に紛れて 心をさらう こんこん 狐の嫁入り 赤い唐傘 くるりと回る 晴れた空から 涙が降れば あなたの影も 森へ行く こんこん 狐の嫁入り 振り向いたなら もうおしまい こんこん 狐の嫁入り 鈴の音だけが 後に残る 恨昏痕閽 陽の雨が降る 恨昏痕閽 嫁入りが済む

