[Intro] 百年ぶりの喫茶店 注文したのは 水だけだった [Verse 1] 雨に濡れた黒いコート 古い時計は午後三時 窓の向こうを歩く人は みんな明日へ急いでいる 僕の時間は余りすぎて 季節の名前も忘れたよ 百年分の退屈を 銀のスプーンでかき混ぜた 「お砂糖はいかがですか?」 店の娘が笑いながら 白い角砂糖をひとつ 僕の前に置いていった [Pre-Chorus] 甘いものなど必要ない そう言いかけて飲み込んだ 彼女が少し首をかしげ 「人生、苦いだけじゃ嫌でしょう?」 [Chorus] スイートシュガー 溶けてゆけ 冷えたカップの底までも 百年かけて忘れたものが たった一秒で目を覚ます スイートシュガー 不思議だね 永遠よりも短い午後 消えてしまうものほどなぜ こんなに鮮やかなんだろう [Verse 2] それから毎週木曜日 同じ窓際 同じ席 彼女は僕を「水のお客」と 呼んで笑っていた ある日は猫が迷い込み ある日は停電 蝋燭の灯 彼女は失敗したケーキを 「今日だけ半額!」と売り出した 「あなたは歳を取らないの?」 冗談めかして聞かれたとき 僕は百年ぶりに嘘をつく 「若作りが得意なんです」 [Pre-Chorus] 店の壁に増える写真 少しずつ変わる街の色 僕だけ同じ姿のまま 彼女の笑い皺を数えてた [Chorus] スイートシュガー 溶けてゆけ 二度と戻らない午後の中 彼女の淹れた紅茶だけが 僕に季節を教えてくれた スイートシュガー 教えてよ なぜ人は笑っていられるの 終わりがあると知りながら 今日のケーキを焼けるのだろう [Bridge] ある木曜日 扉に紙があった 「本日をもって閉店します」 窓際の席も 古い時計も もう誰も待っていなかった 店の奥から出てきた彼女は すっかり白い髪になっていた 「長いこと、ありがとう」 僕は何も言えなかった 「あなた、いつも水ばかりだったけど 本当は甘いもの、好きだったでしょう?」 小さな箱を渡された 中には角砂糖がひとつ そして手紙が一枚 「あなたと過ごした木曜日が 私の人生のご褒美でした」 [Final Chorus] スイートシュガー 溶けないで 初めてそう願ってしまった 永遠なんて欲しくなかった だけど今だけ止まってほしい スイートシュガー ありがとう 君が教えてくれたこと 甘さは舌で知るものじゃない 誰かと分けた時間なんだ 百年生きても知らなかった 一日の重さを知ったんだ [Outro] あれから何年過ぎただろう 僕は小さな店を開いた 看板には ただひと言 「木曜日」 今日もお客がやってくる 「お砂糖はいかがですか?」 僕は笑って差し出す 白い角砂糖をひとつ


