
三十八度五分 それが私の平熱 二ヶ月 夏のせいだと思ってた 腹だけが黙ってる 天井を眺めながら また今日も 誰かの「つらい」を聞いている ずいぶん居心地のいい地獄だな 誰かが撫でてくれる 誰かが心配してくれる ずいぶん大切にされてるじゃないか そう仕込んだのか 「死にたい」と言えば すぐに誰かが飛んできて 「大丈夫」と言ってくれる 便利な言葉だな それで今日も救われるんだろ? お前らのぶりぶりに甘やかされた 臭うほど純血を俺に寄越せ 代わりにこの腐った血をくれてやる 綺麗な涙だ 綺麗な傷だ 可哀想に飾られて ずいぶん幸せそうだな 懐ききった相手が 部屋でてるてる坊主になったことあるか? 血塗れでガード下で 眠ったことは?何回ある? だったらその浅瀬で 好きなだけ浸ってればいい 深さなんて知らなくても 溺れた顔くらいは作れるさ こっちは二ヶ月 何もまともに入らない それでも腹だけは減る 身体ってのは妙に正直だ どれだけ腐っても 生きたいなんて言いやがる お前らのぶりぶりに甘やかされた 臭うほど純血を俺に寄越せ 代わりにこの腐った血をくれてやる せめて釣り合うものを見せてくれ 悲しい喜劇も 自在の涙も 大事に抱えていればいい それを手放せない程度の病みなら 私は笑って見ていてやる 私の何が羨ましい? 熱か? 飢えか? 眠れない夜か? 何もかも奪われて まだ生きていることか? だったら笑えよ お前らのほうが よほど上手く生きてる お前らのぶりぶりに甘やかされた 臭うほど純血を俺に寄越せ 代わりにこの腐った血をくれてやる どうせ余ってるんだろ? 私は私で こいつに食われながら まだここにいる 三十八度九分 季節が変わった?

