言の葉の銃声は 今日も誰かを撃ち抜いて 夜明けより先に 文字の群れが羽化をする 硝子でできた羽音だけ 街路樹を白く染めていく 昨日まで咲いていた花は 名前を奪われ 標本箱の底で 静かに季節をやめていた この街では 優しい声ほど 深く埋められていく 誰も見上げない空だけが 静かに青く滲んでいた 言の葉の銃声は 今日も誰かを撃ち抜いて 羽を失くした鳥たちは 空を見上げなくなっていく 割れた硝子は 元には戻らない 世界は今日も 綺麗すぎる 青信号だけが 何事もなかったように瞬く 水溜まりには 空ではなく 無数の瞳が映っていた 花びらより軽い文字が 鉄より重く沈み 風は何も拾わず 静寂だけを運んでいく 沈黙だけが まだ 人間の形をしていた 羽音は遠く 誰かの呼吸だけが 夜に溶けていく 言の葉の銃声は 今日も誰かを撃ち抜いて 羽を失くした鳥たちは もう歌を思い出せない 割れた硝子は 誰にも映らないまま 朝焼けだけが 静かに街を照らす 世界は今日も 綺麗すぎる 街路樹に 白い羽が降り積もる 誰にも聞こえない銃声だけが まだ 胸の奥で 鳴り止まない


