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ただいまのランジェリー

ある朝 時計より先に 静けさが名前を忘れた 棚から落ちた思い出を 両手で集める春だった 割れたカップの向こう側 笑顔まで欠けた気がしたけど 「おかえり」のひと言だけは 誰にも壊せなかった 見えない傷は 服の下で息をして 涙を隠す布みたいに 心を包んでくれた ランジェリー 弱さは恥じゃないんだ ほどけそうな夜を縫い合わせ 朝へつないでいく ランジェリー 折れそうな願いほど やさしく抱きしめてくれる また笑える日まで 空っぽになった部屋にも 夕焼けはちゃんと届いてた 「大丈夫」と言えない日は 黙ったまま隣にいた 土ぼこりの向こう側で 小さな花が揺れていた 強さってきっと 立ち上がることじゃなく 誰かを思えること あの日を忘れなくてもいい 抱えたまま歩けばいい 傷あとがあるからこそ 光はそこからこぼれてく ランジェリー 見えない涙の模様も 未来へ続く刺繍になる 風がそう教えてる ランジェリー この街の鼓動はまだ 静かに 確かに鳴っている やさしい明日のために