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夏の驟雨と貴方の密かな体温

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V5.5

夏を脱ぎ捨てた潮風が頬を撫でる 陰影を濃く伸ばしていく錆びた防波堤 遠くの水平線が蒼黒く濡れはじめて 予感の如く一滴の雨が落ちてくる 突風が浚っていく青い蝉の咽びを 追うように驟雨が世界を白く覆う 古びた桟橋の屋根へと奔り込んで 僕らは狭隘な雨宿りに閉じ込められた 濡れそぼつ前髪から滴る水の音すら 耳元で重く響くほどの静寂のなか 煙る海をただ黙然と見つめている 震える肩の近さに呼吸を殺しながら 寒いでしょと言って君がそっと寄せる 濡れた着衣越しに伝わる微かな体温 凍えていた記憶が熱を帯びて融けだす 瞬刻の沈黙 身体をあわせた 雨声が世界の輪郭を曖昧にして 互いの脈動だけが確かに刻まれる 名もなき情念の輪郭をそっと擦る その深情に涙が滲んだ 寒いでしょと言って君がそっと寄せる 濡れた着衣越しに伝わる微かな体温 凍えていた記憶が熱を帯びて融けだす 瞬刻の沈黙 身体をあわせた 雲の隙間から夕陽が海を朱に染める 腕を解いたあとの少し気まずい余韻 言の葉は無用だったと知る斜陽の終わり 胸に残る残熱 ずっと好きだったよ 消えゆく雨音に重なる波の騒めき 残熱の宿る肩を潮風が掠める 言葉を失くした夕暮れの桟橋の上 僕らはただ遠い水平線を見つめていた