Song Cover Image

名を問うなら

[Intro] 屋敷の鍵は 机の上 紋章は壁を 剝がされていく 長い廊下に 残るものは 靴音ひとつ それで充分 [Verse 1] 爵位は今日で 失効とのこと 領地も屋敷も 引き渡しましょう 印章も権利も 好きになさいな 数え終えたなら 次へどうぞ 肖像画には 白布が掛かり 空いた棚には 埃が残る 昨日までとは 呼び名が違う それだけのことと 紙を伏せた [Pre-Chorus 1] その姓も捨てて 遠くへ行けばいい 過去など忘れて 別の名で生きればいい 親切な忠告 聞こえておりますわ けれど一つだけ わからないことがある [Chorus 1] 名を問うなら 答えましょう 誇りを飾るためではない あの罪を赦す気もない 弁明など なおさら要らない 失うものなら もう失った けれど最後に残ったものを なぜわたくしが 捨てるのでしょう これは わたくしの名 [Verse 2] 血を分けたとて 愚かは愚か 身内だからと 庇いはしない 犯した罪には 報いがあって 当然でしょう それだけのこと 正義を語って 国を乱して 理想を掲げて 人を踏みつけた あの者たちを 庇う言葉を わたくしにだけは 求めないで [Pre-Chorus 2] 同じ姓ならば 同じ罪なのでしょうか 血が続くなら 同じ人なのでしょうか 随分と簡単に 人を決めるものね ならばこちらも 簡単に答えましょう [Chorus 2] 名を問うなら 答えましょう 家を救うためではない 失われた名誉など 拾い集める気もありません 罪は罪として そこに置く 報いは報いとして 受ければいい それでもわたくしまで あの者たちには渡さない この名は わたくしのもの [Bridge] 門のそばには 誰もいないと そう思っていた それでよかった 古い御者が 帽子を取って いつもの馬車を そこへ寄せる 最後の鞄を 持ち上げたなら 覚えのない茶葉が 増えていた 暇を出したはずの 侍女がひとり 何も言わずに 襟を直した 見送りなど 要りませんのに まったく―― 物好きな方々 [Final Chorus] 名を問うなら 何度でも 同じ答えを返しましょう 爵位がなくとも 屋敷がなくとも 称える者など いなくとも 誰かの罪で わたくしまで 決められるなど 御免ですわ 家のためではない 血のためでもない 昨日を取り戻す ためでもない ここから先を歩く者が この名前を選んでいる [Outro] 新しい街 白い紙 ペン先だけが 静かに止まる 名を問うなら 答えはひとつ エアリア・フォン・クロックワース