
白い羽音が 窓辺を撫でる 淡い光が 頁を染める 誰かが落とした 小さな言葉 拾ったままで そっと閉じる 幾重に重なる 静かな書架 遠い記憶も 眠る場所 甘い香りが 風に混じれば 午後の時計が 少し緩む A white bookmark rests between the pages 過ぎた季節を 眠らせましょう 涙も願いも 触れないままで ただその場所を 覚えている 語らぬことも ひとつの優しさ そういう頁も あるのでしょう 白い光に 包まれながら 今日も静かに 頁をめくる 知らないふりを しているのでは ないのです ただ静かなだけ 誰かの胸に 降り積もった 雪の重さを 測らぬように 鍵のかかった 古い頁も 風に晒せば 傷つくでしょう だから栞を 挟むだけ 続きを決めるのは 私ではない もしもいつか 道に迷って ここへ辿り着く日が来たなら 探していたものが 見つかるまで 少しだけ お付き合いしましょう ……甘いものを いただけるなら ほんの少しだけ 近道を A white bookmark rests between the pages 長い夜さえ 眠らせましょう 言葉にならない 想いまでも ひとつの頁に 変わるように 知ることだけが 答えではなく 語らぬことにも 意味がある 白い羽音が 夜空に溶けて 静かな書架に 朝が来る 白い栞を そっと挟んで あなたの頁は あなたのもの 私はただ ここにいるだけ 今日も静かに 見送るだけ

