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金魚灯

V5.5

[Intro] ちゃぷん、と揺れた夜の底 赤い灯りが 水にほどける ひらり ひらり 尾を引く影を ただ目で追っていた --- [Verse 1] 祭囃子の隙間を抜けて しゃがみこんだ 小さな水槽 赤い提灯 逆さに浮かび 波紋のたびに 形を変える 薄い紙越し 狙った赤は 指を伸ばすより先に逃げて 袖を濡らした夏の雫が やけに冷たく残っていた [Pre-Chorus] あと少し もう少し 届きそうなのに 近づくほど 揺らめいて 夜へ溶けてゆく [Chorus] 金魚灯 赤く揺れて 水の底で夏が泳ぐ 掬えないまま 追いかけて 記憶だけが指をすり抜ける 金魚灯 夜を染めて ひとひらの夢を連れてゆく あの日と同じ灯りなのに どうしてこんなに遠いんだろう --- [Verse 2] 水面に落ちた月の欠片 誰かの笑い声で滲んだ 浴衣の裾を夜風が撫でて 甘い屋台の匂いが過ぎる 一匹だけの赤い金魚が 群れを離れてこちらを向いた 知っているようなその瞳に 忘れた景色が映った気がした [Pre-Chorus] 捕まえたら 消えそうで 逃がしたなら もう会えない そんな記憶ばかり 胸の奥で 今も泳いでいる [Chorus] 金魚灯 赤く揺れて 水の底に夜を隠す 触れたいほどに遠ざかる 面影だけが波紋になった 金魚灯 淡く燃えて 提灯の赤を纏いながら 名前も知らない夏の日が 尾鰭を揺らして逃げてゆく --- [Bridge] ちゃぷん ひとつ 夜が揺れる ちゃぷん ひとつ 灯りが割れる 掬った水は 指の隙間から零れて 残ったものは 赤い残像だけ 忘れたはずの景色ほど どうして綺麗に見えるの もう一度なんて 願った瞬間 金魚は深く 夜へ潜った --- [Final Chorus] 金魚灯 赤く揺れて 水の底で夏が眠る 掬えなくても それでいいと 言えないまま夜を見つめてる 金魚灯 遠く揺れて あの日の私を連れてゆく 水面に映る赤い灯り 手を伸ばせば また崩れて ひらり ひらり 逃げてゆく 戻れない夏を泳ぐように [Outro] 祭囃子が遠ざかる 水面には赤い月 ちゃぷん、と最後に揺れた影 ――金魚はもう 見えなかった