
打ち上げろ 空高く 静かな闇に あかりを灯せ 打ち明けろ 今夜こそは 夜風が しっぽを掴む 缶の水滴 指でなぞる 屋根の海が まばらに揺れて 飲んだ声が 炭酸ではじける 空き缶を 膝の上に置いた カウントダウンが聞こえない ちいさな太鼓が 鳴っている 打ち上げろ 空高く 静かな闇に あかりを灯せ 打ち明けろ 今夜こそは 夜風が しっぽを掴む 夜風がひとつ 君の髪をなでる ぼくの指が 缶の縁をなぞる 言葉のかわりに 遠い太鼓 ふたりのあいだ 草の音 花火がはじまっても 君ばかりをみていた 夢が弾ける音が 遠くに聞こえていた 打ち上げろ 今ここで 煙になって しまう前に 打ち明けろ 光るうちに 影が二つ 重なるうちに 音もなく 松の向こう 夏が過ぎていく 祭りの後の 高台に 空き缶が ひとつ

