[Verse 1] 一緒に暮らし始めたころ 君はよくしゃべった 今日あったことを 夕飯を作りながら 僕はテレビを見ながら 半分だけ聞いて 君が笑えば 僕も笑っていた [Verse 2] いつからだったか 君の話の途中で 「あとにしてよ」と 言うようになった 「ちょっと聞いて」 「疲れてるんだよ」 君は何か言いかけて 冷蔵庫を閉めた [Verse 3] 日曜日 君は二人分のコーヒーを入れた 「今日どうする?」 「別に」 「どこか行かない?」 「好きにすれば」 君は向かいの椅子で しばらく座っていた 冷めたコーヒーを ひとりで飲んでいた [Verse 4] ある夜 帰るのが遅くなった テーブルには ラップをかけた夕飯 「連絡くらいしてよ」 「そんなことで怒るなよ」 君は黙って 皿を冷蔵庫に戻した それから何日か 君は何も聞かなかった [Interlude] [Verse 5] 君の話は 少しずつ短くなった 「おかえり」 「おやすみ」 それだけの日が 増えていった 僕は静かになった部屋を 楽だと思っていた [Verse 6] ある朝 玄関に鞄があった いつもより 少し大きな鞄だった 「行くの?」 「うん」 「いつ帰る?」 君は靴を履きながら 少し考えて 「もう帰らない」 と言った [Verse 7] ドアが閉まって 鍵の音がした テーブルには 僕のカップだけ 洗面所から 歯ブラシが一本消えて ベランダの洗濯物も 半分になっていた 僕はその日も いつもの時間に家を出た [Outro] 夜に帰って 一人で飯を食べた 皿を洗って 棚に戻した 奥に君の茶碗が ひとつ残っていた 手に取って しばらく見た それから棚に戻した 音がしないように そっと置いた


