玻璃の向うに 燈を翳し ほほゑむ貴女に また酔ひしれる 心の弱さを 酒に溶かして 今宵もひとり 罪を呑む 禁じた筈の 白蘭地(ブランデー) 口にすれば 貴女の香 嗚呼 止められぬ この指先 杯(グラス)越しの幻よ 嗚呼 酒よ 貴女よ どちらも捨てられぬ 夢のやうな 夜をくれ 明けぬままに 沈ませて 氷の音さへ 胸に沁み 語らぬ言葉が 溶けてゆく 閉ざした瞳に 浮かぶ影 遠く微笑む 貴女の姿 嗚呼 今日もまた約束を破り 櫃台(カウンター)に沈む 愚か者 酒を絶てば 貴女に逢へず 逢へばまた 酒に墮つ 嗚呼 酒よ 貴女よ どちらも愛しき敵 願はくは この夜のまま 醒めぬ夢で ゐさせてよ