
冷蔵庫の真ん中あたり ケースに並んだ十個の卵 冷え切った身体のままで 終わりの時を待っている 最初は奥から二個連れ出され 煮えたぎる湯へぶち込まれ ひとつは 半熟ゆで卵さ 途中 電話でおしゃべりしてたら もひとつ 茹ですぎ全身硬直 そして…残り八個になった お次は一個が連行される コンコン角に打ち付けられて パックリ割られ かき混ぜられて お醤油 足され また混ぜられて 米にぶっ掛け 卵かけご飯 そして…残り七個になった 卵 卵 卵 (ランランラン) 卵 卵 卵 (ランランラン) ラーーーランラーーン 翌日 魔の手が伸びてきて 奥から二個連れ出されるも うっかりその手を滑らせて あえなく床に落ちてった グシャリと音立ておダブツさ そして残り五個になった 床の卵を始末したあと あらためて二個連れ出され お互いぶつけてパックリ割られ 出汁と具材を混ぜ合わせたら 蒸して蒸されて茶碗蒸し そして残り三個になった 卵 卵 卵 (ランランラン) 卵 卵 卵 (ランランラン) ラーーーランラーーン 翌朝一個が連れ去られ 熱したフライパンに焼かれ 目玉焼きに姿を変えた あんなに賑やかだったのに… 仲間の卵はもういない そして残り二個になった いよいよ今日は 彼らの番だ どんな料理に姿を変える? 覚悟を決めて待っていたら 生のままジョッキに入れられ マッチョに二個とも丸呑みされた こうして誰もいなくなった 卵 卵 卵 (ランランラン) 卵 卵 卵 (ランランラン) ラーーーランラーーン 「しまった…また補充しなきゃ…」 「今度はもっと大きいサイズにするか…」

