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明日から届いた手紙

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V6

朝 郵便受けに 白い封筒がひとつ 切手もない 差出人もない 僕の名前だけ 僕の字で書いてあった 「今日はまだ そこにいるんだね」 最初の一行で 読む手が止まった 知らないはずのことが いくつも書いてある 昨日しまったコップ 言えなかった「ごめん」 眠れずに数えた 天井の小さな傷まで 最後に日付があった 明日だった ねえ 明日の僕 そっちはどうですか 今日の僕が知らない景色を もう見ていますか 笑えていますか まだ迷っていますか たった一日先なのに どうしてこんなに 遠く感じるんだろう 手紙には続きがあった 「ひとつだけ お願いがあります」 大きな決断じゃない 人生を変えなくていい カーテンを開けて 顔を洗って 昨日とは違う道で パンを買いに行ってほしい それだけ? 思わず笑った 外へ出ると 知らない猫がいた いつもの角を曲がらず 一本向こうへ歩いた 小さな店で 焼きたてのパンを買った 店員さんが 「今日はいい天気ですね」 そう言った それだけだった それだけなのに 昨日まで知らなかった今日が 僕の中にひとつ増えた Dear tomorrow I think I understand 未来は遠くで 待ってるんじゃない 僕が今 選ばなかったほうにも 小さな世界が ちゃんと続いてる 帰ってから もう一度手紙を読んだ 最後のページに 朝にはなかったはずの 一行が増えていた 「ありがとう ちゃんと届いたよ」 窓の外が 少しだけ滲んだ ねえ 明日の僕 今度は僕から 手紙を書いてもいいですか 「今日は こんなことがあったよ」 知らない猫がいて パンが温かくて 知らない人と 天気の話をした それだけの一日が 思っていたより ずっと綺麗だったよ 封筒に入れて 宛名を書く 明日の僕へ そして気づいた 最初に届いた手紙と 同じ字だった