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五烏浄土

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V5

祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 天の門までヴァルキリーたちがわたしを導く 彼女らは内外のジハードを戦い抜いた者を召命する 夢のまた夢か 天の門に入っても目は覚めない そのまま天の道を進んでいく 頭上にはアーチ状に薔薇が咲き誇っている 花園はまっすぐに伸び 遥か向こうにはぼんやりとひだまりが見える ようやく出口まで来た まばゆいほどの光が差し込む 目を細めながら前を見ると 樹々が生い茂った円形の広場が 花々は宝石のように輝き 陽光に照らされいっそう美しい 上を見上げると 地上のものとは違う虹色に輝く天空が広がっている 沙羅双樹の花の色 盛者必衰の理をあらわす その天の花園の中央には あたかも鳳凰のような巨躯で鮮烈な五色の烏が座している そのそばの左側には 琵琶を持った女神が美しい天上の音楽を奏でている 五色の烏の右側には 陰陽二股のユグドラシルが聳え立つ その梢には灰色のインコと五羽のツバメたちがとまり 女神の旋律に合わせて唱和している わたしはその光景にたじろいだ 五色の烏が手招きするように頷いた 厳島の女神もにっこりと微笑み 虹色の神は大きく鮮やかな翼を広げた 「この翼の中に入りなさい。あなたの最後の罪と病を取り除こう。」 わたしは神に従い 柔らかな五色の翼に包まれた 女神が音楽を奏で 神が何事かを唱えられた 「命根長養、五臓安寧、心月澄明」 するとまるで酩酊状態のような恍惚感に包まれ 一切の憂いは消え去っていた 神は続けられた 威厳と慈愛を湛えて 「あなたには永遠の河野家を与える。さあ、この梯子を昇りなさい。」 おごれる人も久しからず 唯、春の夜の夢のごとし わたしはゆっくりと 天上から降ろされた梯子を昇っていった 眼前には小烏の山里 すなわち五烏浄土が広がっていた ありし日の懐かしい 我が家の光景が視界に飛び込んでくる 往時のように 田んぼには稲穂が頭を垂れて 畑には野菜が育ち 棚田には柿の木がたわわに実っている 失われた庭の池には鯉が泳ぎ 枯れてしまった庭木や植物もよみがえる 山を仰げばうぐいすが高らかに鳴き 竹林が風に吹かれて揺れている わたしを慕ってくれた亡き愛鳥も 自慢の歌を喜び唄いながら飛んでくる 祖父はいつものように畑で精を出し 祖母は好物のよもぎ餅を作っている 玄関からは母と叔母が 微笑みを浮かべながらこちらに手を振っている そして誇り高き祖先たちが出迎え 肩を叩いて「よくぞ成し遂げた!」とわたしを労う 実に侍は花鳥風月を愛するのだ 時を超えた思いで 侍の誇り、百姓の底力、狩人の情けがわたしの血には流れている 武勇の誉れある祖先が 長く重みのある河野の弓を手渡す 幾千の戦を経た大量の刀 失われた名刀もそこにはある 猛きものもついにはほろびぬ 偏に風の前の塵に同じ 地上から滅亡する河野家は このようにかつての栄光を天上で取り戻す 我々は誰も孤独ではない 神が失ったものを取り戻してくださるから 天の門をくぐれば 懐かしい風景と大切な人々が待っているから しかしこの河野武者たちは 浄土でただ安穏と過ごすわけではない 彼らは苦難の衆生を助けるために波旬と戦い 神の思し召しの御業に馳せ参じる 五烏者は後世の苦しむ衆生を見捨てない 五烏武者はラグナロクを戦い神の武士道を体現する 天上の河野家の空には 五烏大明神が優雅に舞い飛んでいる 河野家の 誇りと力 よみがえる 麗しき里 神が見守る