
白い板に 夢が戻る 会議の後の 静けさに 薄い文字だけ 浮かび出し まだやるのかと こっちを見る 諦めたはず だったのに 理由も付箋に 貼ったのに 予算がないとか 年齢とか きれいな言い訳 並べてた 白い板に 夢が戻る 消しカスまみれで 光ってる 現実的では ありませんと 赤いペンまで 震えてた 白い板に 夢が戻る 誰もいない 部屋の隅 忘れたふりが 下手すぎて 白い板にも バレていた 椅子だけ並ぶ 会議室 昨日の空気が まだ重い 結論だけが 先に帰り 本音はここに 残された イレーザーでは 消えない線 胸にも同じ 線がある もう遅いよと 言いかけたら まだ遅刻ですと 夢が言う 白い板に 夢が戻る 予定表まで 息をする 最初の丸が 小さくても 今も私を 待っている 白い板に 夢が戻る 成功なんて 読めないまま ゼロと書いた その横に 誰かが点を 足していた 笑われるのが 怖かった 失敗よりも 説明が できない理由を 並べるほど 安心するのが うまくなった でも戻る夢は しつこくて 立派じゃなくて 頼りない 消されるたびに 薄くなって それでも私を 呼んでいた 白い板に 夢が戻る 私はペンを 拾い直す 大きな字では 書けなくても 端のほうなら 少し書ける 白い板に 夢が戻る 今度は消さず 囲んでみる 叶えるための 線じゃなく 始めるための 印でいい 窓の外では 夜がほどけ 蛍光灯が まだ眠らない 白い板には 下手な未来が 消えかけながら 残っていた 鍵を閉める その前に 私はそっと 日付を書く 夢は戻った だから明日 私も少し 戻ってみる

