崩(くず)れ落(お)ちた声(こえ)が 夜(よる)に溶(と)けて 脈(みゃく)を失(な)くした鼓動(こどう)が まだ僕(ぼく)を呼(よ)ぶ 閉(と)じた瞳(ひとみ)の裏(うら)で 誰(だれ)かが笑(わら)う 「戻(もど)れないよ」と 優(やさ)しく告(つ)げる 指先(ゆびさき)が触(ふ)れた 冷(つめ)たい檻(おり) 零(こぼ)れ落(お)ちた記憶(きおく)が 足元(あしもと)で揺(ゆ)れる 歪(ゆが)んだ影(かげ)が 僕(ぼく)をなぞって 「壊(こわ)していいよ」と 微笑(ほほえ)んでいる 沈(しず)む意識(いしき)の底(そこ)で 名前(なまえ)のない僕(ぼく)が 僕(ぼく)を裂(さ)く 逃(に)げ場(ば)のない祈(いの)りが ただ ただ ただ 静(しず)かにほどけていく 黎(れい)に堕(お)ちて 0(ゼロ)へ還(かえ)る 僕(ぼく)の声(こえ)は もう届(とど)かなくていい 壊(こわ)れたままの心臓(しんぞう)が まだ まだ まだ 夜(よる)を求(もと)めて 美(うつく)しくなる 乾(かわ)いた息(いき)が 喉(のど)を裂(さ)いて 沈黙(ちんもく)だけが 優(やさ)しく触(ふ)れる 「救(すく)われたいの?」と 誰(だれ)かが問(と)うた その響(ひび)きすら 愛(いと)しく思(おも)えた 崩(くず)れゆく世界(せかい)の隅(すみ)で 僕(ぼく)は僕(ぼく)を 見(み)つけていく 失(な)くしたはずの欠片(かけら)が いま いま いま 形(かたち)を持(も)ち始(はじ)める 黎(れい)に染(そ)まる 0(ゼロ)の檻(おり)で 僕(ぼく)の影(かげ)は まだ僕(ぼく)を離(はな)さない 壊(こわ)れた夢(ゆめ)の残骸(ざんがい)が ただ ただ ただ 夜(よる)の中(なか)で 輝(かがや)いている 「ねぇ、まだ終(お)われないよ」 「ここからが始(はじ)まりだよ」 「聞(き)こえてる…?」 「それは君(きみ)の声(こえ)じゃない」 「ゼロに戻(もど)って、また壊(こわ)れよう」 「それが一番(いちばん)綺麗(きれい)だから」 黎(れい)に堕(お)ちて 0(ゼロ)へ還(かえ)る 僕(ぼく)の声(こえ)は もう僕(ぼく)にも届(とど)かない それでもいいと やっと思(おも)えた 壊(こわ)れたままの心臓(しんぞう)が まだ まだ まだ 夜(よる)を求(もと)めて 生(い)き続(つづ)けている 終(お)わらないまま この壊(こわ)れ方(かた)でいい


