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海の空の下🪼

V5.5

海の空の下🪼 海の中の砂漠で膝を抱えて 地平線をながめている ドレス姿だった 白い裾が 海月のように ゆれている 見上げると 丸い空が見える 行こうとは 思えなかった 躯(からだ)を包む 冷たいはずの水 いつから ここにいる 最初は何もないと思った 海の底にある 砂漠の地平線 薄い光がたまに砂を照らす ドレスはただ 揺れている 脇腹の傷を 海が優しく侵す 海蟲が潜り戯れ 奥の柔らかいところまで来た 驚かさないように じっと空を見ていた 増える蟲(いのち)が 私を軽くしていく 肺も  子宮も   心臓も やがて形を失う わずかな痛みを感じた 意識だけの痛み 輪郭をつなぐための信号 まだ何かが残っている印 すぐに痛みも 感じなくなった ウミガメが濁りを 避けるように通り過ぎる 思わず手を伸ばす 皮膚だった場所が 海の空を少し濁らす 淀みが広がる 腕の中の蟲が筋膜を破って 空へ漂った 時間は固定されない 腐敗は加速する 白い骨が見えてきた 躯(むくろ)育ちのプランクトン エビや小魚も寄ってきた 淀みの中の仮初の宇宙 濁りは広がり そしてどこまでも 透明な海となる 意識は薄く広がり 個はやがて海になる 時を待つように 白だけになって 海の空の下で ゆれている