赤を塗りつぶした 愛なんていらないと 橙を塗りつぶした ぬくもりが怖かった 黄色を塗りつぶした 希望なんて嘘だった 緑を塗りつぶした 生きる理由もいらない 黒で塗りつぶした 赤も橙も 黄色も緑も 青も藍も紫も 黒で塗りつぶした 全部 全部 全部 世界から色を奪えば 僕も変われると思った なのに 黒は 黒のまま 何色にもなれなかった 青を塗りつぶした 流した涙ごと 藍を塗りつぶした 夜より深く 紫を塗りつぶして 七色を消したなら 僕の中にも 何か残ると思った 黒で塗りつぶした 君の声も あの日々も 愛も 夢も 涙も 全部 世界を黒く染めれば 僕も同じになれると思った なのに 黒は 黒のまま 君には なれなかった 笑っていた君を 黒く塗りつぶした 好きだった歌も 思い出も塗りつぶした 綺麗だった空まで 汚してしまったあと 残ったキャンバスには 僕だけが立っていた もしも この黒が 罪だというのなら 僕はこの手で 何を消したんだろう 七色を奪っても 僕の空白は埋まらない だからこそ もう 塗りつぶさない 赤を返そう 愛していた証だから 橙を返そう ぬくもりを忘れないために 黄色も緑も 青も藍も紫も 一つずつ 一つずつ 拾い集める 七色になれなくても 七色を消さずに 生きていけるなら 黒いキャンバスに 小さな赤を一つ それだけで 夜は少し 夜じゃなくなった