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DE13-Fly, jump, like a bird-

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V4.5

 神社本庁が自衛隊と極秘裏に連携している事実を知る者は少ない。表向き、霊障事案は公的機関が対応を担うため、霊障局発足前まで最前線を担っていた神社本庁は、現在はいわゆる特殊な事案へのバックアップや地方の対霊障治安維持に権限が留まっている。    故に、古くは旧軍、果ては平安時代にまで当時の軍事組織と密接な繋がりを持っている。各神社で運用される軍用兵器や車両も、各時代の軍事組織からの転用武器というのもその名残である。    乙羽神社襲撃事件の全容が、詩乃の口から本庁出向中の父親を経由して、神社本庁関係者の耳に入るのは早かった。証拠映像までマスコミに出回り、世論は霊障局に対する批判を強めていた。  同時に、霊障局周辺では大規模な暴動が発生。武装した霊障局員が暴徒に対して発砲を行ったことから、霊障局本局周辺は騒然としていた。  唯一、行動に不自由のなかった一課の結城理央から、十三課や反副局長派の職員が拘束されたことの連絡を受けた成美は、霊障局への侵入方法を模索していた。暴徒と霊障局、さらには警察隊が入り混じる騒乱現場である以上、地上からの侵入は困難であった。  そこで思わぬ提案が転がり込む。神社本庁と密接な関係にある自衛隊が、輸送機を上空に派遣するとの通達があった。これは、詩乃の父親が手を回した恩恵であった。  空自入間基地から輸送機に乗り込んだ成美と雪乃は、慣れないプロペラ輸送機の揺れに揺られ、東京上空まで来ていた。  輸送機のカーゴスペース内。両足を投げ出すようにして座る成美の隣で、雪乃がじっと機体の床を見つめている。パラシュートを背負い、脚部のストラップを締め直す手が震えていた。 「怖いよね」  成美の声は低く抑えられていた。雪乃はわずかに頷く。 「うん……体験訓練じゃ、ここまで重装備じゃなかったから」 「私も、これが初ジャンプなんだけどね。まぁ、相棒(ミラ)の助言がないと無理だけど」 "嬉しいこと言ってくれますね。成美さん。精一杯サポートしますよ" 「相棒って誰のこと?なるみん」 「心の友」  視線を合わせず、成美は静かに告げた。手のひらは汗で湿っている。だが、声にはそれを感じさせなかった。雪乃もまた、それに応じるように呼吸を整える。 「残り3分、降下準備願います」  通信機越しに響く声と同時に、機体後部がギィ、と音を立てて開いた。外は漆黒。曇天の月明かりすら届かぬ闇の下、風が暴力のように吹き込む。 「両名とも、最終チェック行くぞ」  声をかけてきたのは、迷彩服の陸自隊員。ジャンプマスター、階級は一尉。表情には一切の感情がない。 「右肩、バックル締結。パラシュートリガー、安全装置確認」  軍用のルーチンが、場の空気を張り詰めさせる。雪乃の動作にも、もはや迷いはなかった。地上では黒煙と煙が上がり、赤色灯の光が至る所で光っていた。 「1分前。スタンバイ」  ジャンプマスターの声が最後に響いた瞬間、機内に設置された信号灯が“緑”へと変わった。 「グリーンライト、幸運を」    短く、静かにその言葉が告げられる。  成美は躊躇なく雪乃の手を握って立ち上がった。雪乃も続く。肩越しに視線が交差した瞬間、互いに言葉はいらなかった。  この降下の先に、仲間がいる。助けなければ、意味がない。  成美は踏み出した。  風が身体を裂いた。視界が闇に塗り潰される。同時に、雪乃の姿もその後を追うように消えた。  空挺降下、開始。