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白き霜の女王

『白き霜の女王』 いつか 食べよう 特別な日に 食べよう 疲れた夜に ご褒美に そうして私は 何度も 扉を閉じた 冷凍庫の奥で 白い眠りが降る 凍った夜たちが 底に積もっていた 安いアイスは すぐに消えていった だけど彼の者だけは 手をつけられなかった 金色の蓋 小さなカップ 未来に預けた 甘い王 何ヶ月だったのか 何年だったのか もう誰にも わからない 蓋に積もった 霜だけが その時を 知っている 買った記憶は 伝承だった 白き霜の女王 冷凍庫の奥底 食べたい夜を いくつも越えて 霜の冠を かぶっていた 白き霜の女王 凍れる秘宝よ 今日こそあなたを 掘り起こす 保冷剤の海を 砕氷船で進んだ 冷凍うどんの氷山を 右へかわして 枝豆の流氷 ジップロック大陸 その果てに 彼の者は潜んでいた 誰も触れない 白い地平の向こう 私はついに 女王の墓所へ辿り着いた ピーピーピーと 警鐘が鳴った 戻れ それ以上は危険だ 冷蔵庫が そう告げた気がした 違う ただの 開放注意だった 白き霜の女王 いつか食べようと 何度も何度も 見送られた 白き霜の女王 霜のマントをまとい かつてバニラだった 白い沈黙 なぜこんなところで 神話になった いつかって いつだったの 特別な日って どの日だったの 疲れた夜なら 何度もあった それでも私は 扉を閉じた 大事にした つもりだった だけどご褒美は 未来の中で 氷河になった 白き霜の女王 冷凍庫の奥底 食べたい夜を いくつも越えて 霜の冠を かぶっていた 白き霜の女王 凍れる秘宝よ 今日こそあなたを 救い出す スプーンを入れたら 白く崩れた そこはもう アイスじゃなかった かつてバニラだった 白い沈黙 私はそれを ご褒美と呼んで 静かに 飲み込んだ 冷凍焼けの 味がした