
「夏ってさ、 腐れ縁の彼氏未満みたいだよね」 「ナニソレ?」 「鬱陶しくて基本、嫌い寄りの ギリギリセーフなんだけどさ」 「言い方」 「いざ去るとなると なんとなく惜しくなるっていうか」 「なんだろ、 この微妙にムカつく感じ。 それって結局好きなんじゃない?」 「それほどでも」 「……」 「たださ、 帰りの空の色が違ってきたり ミンミンとギーギーから オーシ・ツクツクになったりすると なんかね」 夏を引き止めたい気持ちと 送り出したい気持ちが くるくる回す風鈴の短冊 目を閉じてヒグラシの声を聴く やたらと暑くて 日差しが痛くて ウェーイが湧いて 蚊も湧いて なんもいいことがないけど 確かに惜しいかもね そんな勝手な気持ちになど 無頓着に夏は去る 夏を引き止めたい気持ちと 送り出したい気持ちが くるくる回す風鈴の短冊 目を閉じてヒグラシの声を聴く

