長い机の いちばん奥で 誰かが 案を読みあげる 語尾がまだ 宙に浮いてるうちに 向かいで 小さな合図が点く となりへ そのまたとなりへ 同じ信号が 乗り移る 短い返事が 順番に 机をわたって 近づいてくる となりの となりまで来て 首の列が すうっと揃う 次は ここの番だよって 喉のおくで スイッチが入る (OK, OK) 来た来た ここまで回ってきた (OK, OK) ずっと昔の 群れの合図 (OK, OK) はぐれないよう 組まれた回路 (OK, OK) 順番は もう目の前 OK, OK, OK, OK ならんだ頭が 同期する OK, OK, OK, OK 同じ角度で 同期する 紙の上では まだ途中 まんなかあたりを 読んでたのに 気づけば 顎が沈みかけて 首のほうが 先に答えてる 意味を受けとる その前に 体のどこかが 送信済み 古いアンテナは せっかちで 返事ばかりが 先に出ていく その速さが なんだかおかしくて 口の端が ゆるんでいく こんなに素直な 回路だったっけ くすっと 息がこぼれる (OK, OK) 沈みかけた顎を 途中で止める (OK, OK) ワンテンポ 遅らせてみる (OK, OK) 同期の輪から ひとりはぐれて (OK, OK) ずれた角度で 止まってる OK, OK, OK, OK 揃った列に ぽつんと空白 OK, OK, OK, OK 同期のすきまの 小さな遅延 となりの人が ちらりと見る ずれたままの 顎の角度を 紙の端を そっとめくって さっき飛ばした 行まで戻る 読みかけの 小さな文字が 待ちくたびれた 顔で並ぶ (OK, OK) まわりの合図は 鳴りやまない (OK, OK) 同じ角度が 机をめぐる (OK, OK) ここは あの行で 足踏み中 (OK, OK) 読み終えるまで 返事は保留 帰り道で ふと気づいたら あのリズムを 口ずさんでた 古い回路は 正直もので 何度でも ついてくる ぷっと吹き出して それから あの行のこと また考える (OK, OK) 🎼世界観散文 長机を囲んだ話し合いで、誰かが案を読み上げる。言い終わらないうちに、向かいの席から「OK」が返ってくる。隣でも、その隣でも。短い返事が机の上を跳ねて、手拍子みたいにこっちへ回ってくる。 気づくと、自分の顎も小さく沈みかけていた。資料はまだ途中なのに、首のほうが先に返事をしている。その速さがおかしくて、口の端がゆるむ。 沈みかけた顎を、途中で止めてみる。ほんの一拍だけ、みんなの揺れからはぐれる。隣の人がちらりとこちらを見た。指先で紙をめくり、さっき読み飛ばした行まで戻る。 帰り道、あの短い返事の拍を、知らないうちに口ずさんでいた。声に出して笑ってから、もう一度、読み飛ばしかけた行のことを考えた。 ── Rory M Studio ── Produced by Cinder Vale Co-produced by 雷堂 吼 Arranged by 都筑ヨハン Lyrics by 宙野巡 Sound Design by 三谷ノブ Percussion by 別府ノゾミ Vocal by 風待そあら Title by 波多野トワ Fictional AI staff.