
[Intro] 朝の玄関 まんなかで 帽子を右 帽子を左 マントを直して 胸を張る 「本日のおつかい わたくしに お任せくださいませ!」 渡された紙を ひらりと持って 杖をかざす 「完璧ですわ!」 風が吹いた 紙が飛んだ 「あっ」 [Verse 1] 白い道を 追いかける 一枚の紙 ひらひらり 右へ! 左へ! 屋根の上! 「お待ちなさい!」 杖を振ったら 風が吹く もっと遠くへ 飛んでった 「……風の向きが 少々 自由ですわね」 パン屋を越えて 噴水越えて 広場の木まで 追いかける ようやく紙を つかまえた 「ほら! 計算通りですわ!」 木の枝から 降りられない [Pre-Chorus] 牛乳! たまご! りんご! それから—— 「…………」 紙を見る 上下を見る 裏も見る 「最後のひとつが 読めませんわ!」 にじんだ文字を じっと見る 「まあ! これはきっと 高級なお菓子ですわ!」 [Chorus] おつかいは完璧ですわ! たぶん! きっと! 問題なし! 牛乳買って たまご買って りんごを三つ 袋へぽん! 最後のひとつは 分からない! だったら一番 かわいいもの! クッキー! プリン! いちごのタルト! 「全部あれば 完璧ですわ!」 袋いっぱい 夢いっぱい 杖を振ったら ふわふわ浮いた! 「まあ! 便利ですわ!」 そのまま袋が 空へ飛ぶ 「待ちなさいませー!」 [Verse 2] 袋を追って 町の角 泣いてる子どもを 見つけたの 「あら?」 どうしましたの? 風船ひとつが 木の上に 「それくらい 簡単ですわ!」 杖をくるりと ひと回し 風船ふわり 降りてきて なぜか一緒に 靴も飛ぶ 「……サービスですわ」 子どもが笑う わたくし笑う 片足だけで 胸を張る そこへ迷子の 子猫が一匹 「まあ!」 任務追加! 路地へ走る 市場へ走る 魚屋さんまで 追いかける 気づけば両手に 猫と魚 「……なぜですの?」 [Pre-Chorus 2] 牛乳! たまご! りんご! お菓子! 子猫! お魚! 片方の靴! 「…………」 何かひとつ 増えてますわ! いえ ふたつ? みっつ? 「細かいことは 帰ってからですわ!」 [Chorus] おつかいは完璧ですわ! たぶん! きっと! 今のところ! 袋は戻った! 猫も戻った! 靴も魚屋さんが 持ってきた! ありがとうって 言われたら なんだかちょっと 照れますわ 「当然のことを したまでです!」 胸を張ったら 後ろから 牛乳ひとつ ころころころ 「あっ!」 坂道ですわー! [Bridge] 夕焼け空 帰り道 ようやく家が 見えてきた 今日のおつかい 振り返る 牛乳 あります たまご あります りんごもちゃんと 三つです お菓子はなぜか 五つです 「……まあ」 そこは 気にしません 玄関前で 紙を見る にじんだ最後の 文字のところ 夕日に透かして 読んでみる 「…………」 『パン』 「…………」 長い沈黙 風が吹く リボンが揺れる 「パン屋さんへ 戻りますわー!」 [Last Chorus] おつかいは完璧ですわ! まだ! まだです! 終わってません! 坂を下って 角を曲がって 閉まりかけてる パン屋さん! 「お待ちくださいませー!」 最後のパンを ひとつ買い 今度こそ 家まで一直線! 寄り道しない! 蝶も見ない! 猫も見ない! 「あっ!」 道の向こうに 虹が出た 三秒だけなら 見てもいい? 一秒! 二秒! 三秒! 「美しいですわ……」 そして走って 家へ帰る 袋を机に 並べたら 牛乳! たまご! りんご! パン! ついでにお菓子が 五つある! 「ほら! 完璧ですわ!」 [Outro] 夜の台所 まんなかで 今日の成果を 眺めてる クッキー プリン いちごのタルト 「これはすべて 必要経費ですわ」 後ろで誰かが 紙を拾う 『牛乳・たまご・りんご・パン』 「……お菓子は?」 しーん 杖をそっと 背中に隠す 「…………」 にっこり笑って 胸を張る 「おつかいには 夢も必要ですわ!」 椅子に座った つもりだった 椅子がない どん! 「……これは 椅子の配置に 問題がありますわ!」

