
街灯がひとつ 水たまりに揺れて 知らない誰かの 笑い声がする それだけの夜だけれど 店の灯りが消える頃 紙袋を抱えて帰る道 信号をふたつ 渡るあいだに 昔の記憶が 過ぎる 遠い日のことは もう夢より薄いのに あなたの言葉だけ 時々 風のように戻る ねえ 今どうしていますか 私は今 ここにいます 名前も知らない人たちと 同じ朝を待ちながら あの日あなたがくれたものを ひとつずつ 確かめるように ありふれた夜を歩いてる la-la la-ri-la ah-ah ri-la 遠く 遠く 灯りの向こう 向かいの部屋のテレビの音 自転車のベル 夜更けの雨 季節外れの薄い上着を 笑いながら直す人 昔とは見ている景色も ずいぶん違ってしまったけれど あなたと見上げた空だけは 今でも少し近くにある さよならの意味を あの頃は知らなかった それでもあなたは 笑って見送った ねえ 元気でいますか 私もまだ 歩いています 失くしたものも増えたけれど 好きなものも増えました 温かいスープ 雨の匂い 帰る場所を照らす窓 他愛ない話で過ごすこと あなたのくれた 世界のつづき もし もう一度 あなたに会えたなら 何を話そう 長い話はきっと 上手にできないから 晴れた空が綺麗だったこと 道端の花が咲いたこと 友達がふえたこと そんなことばかり 話してしまいそう それから ありがとう、と それだけを ねえ 今どうしていますか 私は今 ここにいます あなたの知らない街角で 知らない歌を覚えながら 悲しい日にも うれしい日にも ちゃんと明日はやってきて だから今夜も 灯りの中へ帰ってゆく それだけのありふれた夜を 今日も 抱きしめて

