ラバー ねえ 覚えてる あなたが初めて あたしを抱きしめた日のこと 開いた口を ぎゅっと結んで あたしを 湿気から守ってくれた ホコリも入らないし 鮮度だって保てた だけどあなたは 優しいだけじゃない いつも少し 痛かった ラバー ラバー あなたは優しく あたしを縛った ラバー ラバー あなたがいなければ あたしは こぼれてしまうのに 乱暴にまさぐられるたび あたしはエビ反りで跳ねる ガサガサ ガサガサ やめられないし 止まらない 開いた口から 少しずつ こぼれそうになる そのたびにあなたは 赤い輪の跡を残して もう逃げるなと あたしを閉じた あたしたちの関係は パチンと跳ねた あなたは遠くへ 飛んでいってしまった シンクの下 冷蔵庫の横 床の隅 探したけれど あなたはもう 見つからなかった ラバー ラバー あなたがいなきゃ だめなんだ あなたを想うと わたしの中は どんどん湿っていく やめられないし 止まらないはずだったのに 今はもう この湿気だけが 止まらない あなたがいない隙間を 埋めるように 袋止めクリップが わたしの口を閉じた あいつは正しい ちゃんと乾かしてくれる でも正しさだけじゃ わたしは満たされない あなたみたいに 食い込んでくれない あなたみたいに 跡を残してくれない その日から あたしの体が開くたび あなたと あいつが かわるがわる わたしを閉じていく 痛いのはあなた 正しいのはあいつ でも思い出すのは パチンとなった あの日のあなたばかり ラバー ラバー あいつじゃ だめなの きれいに閉じても 足りないの ラバー ラバー あなたの痛みでしか あたしは あたしを保てない 開いたままの夜に 少しずつ しけっていく ラバー ラバー あたしはまだ やめられない ラバー ラバー あたしはまだ 止まらない 最後のひとかけらまで あなたに 縛られていたかった