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薔薇は夜に微笑む

金の燭台 硝子の向こう 知らない笑みが わたくしを量る 亡き父の椅子に 今夜から座り 古い家名を この肩に纏う 扇の陰では 縁談が動き 葡萄酒の色に 密約が沈む 優しい言葉を 信じるほどには この館の夜は 清くはないの 礼を尽くして 距離を測る 目を伏せながら すべてを見る 誰が味方で 誰が値をつける 答えは笑顔の 裏側にある 微笑みは絹 心は冬 名を守るのは わたくしひとり さあ踊りなさい 灯が消えるまで 今宵の主は わたくし 華やぐほどに 影は深く 愛より静かに 未来を選ぶ さあ踊りなさい 夜が明けるまで この家の主は わたくし 伯爵夫人は 真珠を撫でて 昨日の盟友を 他人と呼んだ 若い子爵は 花束の中 署名(サイン)の欲しい 書面を隠す 恋などここでは 飾りの香水 甘く残って 朝には消える ならばわたくしも 薔薇を飾って 棘の在り処は 教えはしない 一つ譲れば 二つ奪われ 迷いを見せれば 席を失う 少女の昨日を 胸に葬り 静かな主人に なるだけ 微笑みは絹 心は冬 名を守るのは わたくしひとり さあ踊りなさい 灯が消えるまで 今宵の主は わたくし 華やぐほどに 影は深く 愛より静かに 未来を選ぶ さあ踊りなさい 夜が明けるまで この家の主は わたくし 本当は今も 怖れているの 鏡の中には 昨日の娘 けれど涙は 宝石にならず 弱さを買う者が 増えるだけ ならば気高く ならば冷たく 朝までこの名を 誰にも渡さない 微笑みは絹 心は冬 名を守るのは わたくしひとり さあ踊りなさい すべて見届けて 今宵の主は わたくし わたくし