
水路を離れ 歌は風へ 川霧越えて 丘を渡る 誰かが語る 水の歌姫 誰かが笑う 怪異を鎮めたと されど歌には 刃があった 恐れの名前を ほどく刃が その噂は 市場を抜けて 巡礼の道を 静かに行く 呪いを返す 娘がいると 獣の名さえ 変えると聞いた 真実を歌う 吟遊詩人 隠したものを 弦で暴くと その声ついに 城へ届く 幼き王の 耳へ届く 閉ざされた部屋に 風が吹き込む 名を取り戻す 歌を連れて 玉座に座る 小さき王は 王でありながら 王ではなく 白き騎士らの 影に囲まれ 言葉ひとつも 計られている 父の死さえ 問えぬままに 夜ごとひとり 名を呼んでいた 裏切り者と 呼ばれし宰相 塔の暗がりに 今も幽閉 その代わりには 監国査察官 聖堂騎士より 遣わされし者 祈りの名もて 国を計り 忠義の名さえ 罪へ変える その声ついに 城へ届く 幼き王の 耳へ届く 閉ざされた部屋に 風が吹き込む 名を取り戻す 歌を連れて されど王は 噂を聞いて 小さく胸の 奥を震わす 怪異の名を 返すならば 罪人の名も 返せるだろうか 沈められた 歌を拾うなら 父の真実も 拾えるだろうか 監国査察官は 眉をひそめる 真実を歌う者など 厄介なだけと けれど王は 初めて命じる その吟遊詩人を 城へ招けと その声ついに 城へ届く 幼き王の 耳へ届く 閉ざされた城へ 風が吹き込む 名を取り戻す 歌を連れて これはまだ 真実ではない 真実へ至る 扉の歌 閉ざされた城へ 風が吹き込む 名を取り戻す 歌を連れて

