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旅の巫女【新・異世界で始める二人旅02】

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V5.5

[Intro] 朝の光 風に揺れて 知らない世界 歩き出す [Verse] 初めて来た この街で 地図もなくて 迷ってた 途方に暮れて 立ち尽くす その時ふわっと 風が吹いた [Pre-Chorus] 不思議な服の 君が そっと笑って 手を差し出した 少しだけ 胸が ドキってした [Chorus] 君がくれた その優しさ 止まっていた 心が動きだす 明日へ続く 希望になった [Verse 2] 困っている 人がいたら その手を 差し伸べなさい 幼い頃 教わった 言葉を 胸に抱いて だから私は 手を伸ばした ただそれだけで よかったの 笑顔になれば それだけで 十分 だったから [Pre-Chorus] またどこかで 会えたなら 今度はちゃんと 名前を聞かせて あなたの 話を 聞かせて [Chorus] 君がくれた その笑顔は 小さな奇跡 だったのかな 同じ空を 見上げながら 旅はここから 始まっていく 出会えてよかった そう思えるから [Bridge] 名前も知らない ふたりでも 同じ空を 見上げてた この出会いが いつの日か 未来へ つながるように [Build-Up] また会える きっと会える そんな予感が 胸にある [Final Chorus] 君がくれた その優しさ 心の奥に 残っている またいつか 巡り会える そんな気がする この世界は まだ始まったばかり [Outro] 【Episode Story】 【第2話・旅の巫女】 朝日が草原を照らしていた。主人公はゆっくりと歩きながら、スーツのポケットからスマートフォンを取り出す。 「誰かに連絡できれば……。」 画面を見る。圏外。主人公は苦笑いを浮かべる。 「まあ、こんな山奥?ならそうだよね。」 何度か再起動してみる。やはり変わらない。主人公は辺りを見回す。どこまでも続く草原。遠くに見える街。 「とにかく人がいるところまで行こう。」 歩き始める。 しばらく歩く。舗装された道路はない。標識もない。電柱もない。 「……おかしいな。こんな草原だらけで道路もないなんて、明らかにおかしい…。」 主人公は少し不安そうな表情になる。 「僕は昨日、仕事から帰っている途中に事故に遭って……。」 そこまで思い出し、立ち止まる。 「あっ、そうだ。ぼく、車にはねられて……。」 静かな風だけが吹く。主人公は自分の体を見る。 傷一つない。 「……なんで?」 答えは出ない。 「うーん、考えても仕方ないか。まずはここが一体どこなのか、それを調べよう!」 主人公は遠くに見える街へ向かって歩き始めた。 朝日が石畳の街を優しく照らしていた。主人公は大きな城門をくぐり、見知らぬ街へ足を踏み入れる。石造りの建物。荷馬車。色鮮やかな露店。見たことのない服装の人々。主人公は辺りを見回した。 「外国……?いや、それにしては雰囲気が違うな。」 映画の撮影だろうか。テーマパークだろうか。考えてみるが、どれもしっくりこない。それでも人々の言葉は日本語に聞こえる。 「どういうことなんだろう……。やっぱりここは日本?でも…。」 歩き始めると、周囲の視線が集まる。 「あの服、なんだ……。」 「珍しい格好だな。」 主人公は自分のスーツを見下ろした。 「やっぱり自分だけこの服装は目立つよね……。」 苦笑いを浮かべながら歩く。 香ばしいパンの匂いが漂ってきた。 「美味しそう……。」 その瞬間。ぐぅ……お腹が鳴る。主人公は財布を取り出し、一万円札を店主へ差し出した。店主は困った顔をする。 「あんちゃん、申し訳ないが…この紙は、お金なのかい?」 主人公は固まった。 「え?」 周囲の人々も不思議そうに見ている。 「す、すみません!」 主人公は慌てて店を離れた。 人気の少ない広場。主人公は噴水のそばのベンチへ腰を下ろす。 「財布はあるのに、お金が使えないなんて……。」 「本当にどうしたらいいんだろう。」 深いため息をつく。 その頃。街の反対側では、一人の青髪の少女が静かに歩いていた。旅装束をまとい、小さな荷物を背負っている。少女は各地を旅しながら、人々の暮らしを見守っていた。それは彼女の巫女として、一族に代々受け継がれてきた役目。 『困っている人がいたら、その手を差し伸べなさい。』 幼い頃から何度も教えられてきた言葉だった。 その時。 「おっと……。」 年配の男性が荷車を押していたが、石畳の段差に引っ掛かり動けなくなってしまう。少女は迷うことなく駆け寄った。 「お手伝いします。」 「すまないね。」 少女は荷車を後ろから支える。二人で力を合わせると、荷車はゆっくり段差を越えた。 「助かったよ。ありがとう、お嬢ちゃん」 少女は優しく微笑む。 「お気になさらないでください。困っている方を助けることが、私、巫女の一族の教えですから。」 老人は感心したように笑った。 「今どき珍しいほど感心するお嬢さんだ。」 少女は少し照れたように笑い、一礼する。 「それでは失礼します。」 再び歩き始めたその時だった。広場のベンチに、一人の青年が肩を落として座っている姿が目に入る。見慣れない黒い服。困ったような表情。少女は小さく立ち止まった。 「あの方も……お困りなのでしょうか。」 少女はゆっくりと主人公へ歩み寄る。 「失礼します。」 主人公は顔を上げる。目の前には、青い髪の少女が立っていた。 「何かお困りでしょうか?」 主人公は少し驚きながらも、苦笑いを浮かべる。 「実は……。」 財布のお金が使えないこと。昨日から何も食べていないこと。知らない土地で困っていること。 少女は最後まで静かに話を聞いていた。 「そうでしたか…。でしたら、まずは温かいものでも食べましょう。」 少女は主人公を街の食堂まで案内し、パンと温かいスープを買う。主人公は恐縮しながら席へ着いた。 「本当にいいの?」 「はい。」少女は笑顔で言った。 「困っている方を助けるのは、私の務めですから。」 主人公は静かに頭を下げた。 「ありがとう。」 温かいスープを口に運ぶ。 「美味しい……。」 思わず笑みがこぼれる。 少女も少しだけ嬉しそうに笑った。 食事を終えると、少女は主人公のスーツへ目を向けた。 「そのお召し物ですが、この街ではとても珍しい服装ですね。」 主人公は苦笑する。 「やっぱりそう見える?本当は目立たない服に着替えたいんだけど、これしか持ってなくて。」 少女は荷物の中から丁寧に畳まれた服を取り出した。 「以前、旅を終えた旅人の方から譲っていただいたものです。もしよろしければ、お使いください。」 主人公は驚いた。 「でも、大切な物じゃ……。」 少女は微笑む。 「その方も、必要な方に使ってほしいとおっしゃっていました。」 主人公は深く頭を下げる。 「ありがとう。本当に助かった。」 主人公が着替えを終えると、少女は安心したように微笑んだ。 「こちらの方が、この街では過ごしやすいと思います。」 主人公は少し照れながら笑う。 「似合ってるかな。」 「はい。とてもお似合いです。」 二人は思わず笑い合った。 その時、少女は服を入れていた袋の中を見て、小さく声を漏らした。 「あっ……。」 一本の剣が入っていた。少女は剣を取り出す。 「そういえば、この剣も服と一緒に譲っていただいたものでした。」 主人公は目を丸くする。 「剣!?」 少女は小さくうなずく。 「旅を終えた方が、『もう必要ないから』と服と一緒に置いていかれたものです。私には少し大きく、使う機会もありませんでしたので。」 主人公は戸惑う。 「でも、剣なんて使ったことないよ。」 少女は少し驚いた表情になる。 「使ったことが……ない?」 「うん。」 「ぼくがいたところでは、剣を持って戦うことなんてないから。」 少女は静かに剣を見つめた。 「街の外には魔物が現れます。旅をする方の多くは、剣や魔法で身を守っています。」 主人公は思わず聞き返す。 「魔物……?魔法……?」 その言葉が胸に引っ掛かる。スマートフォンは圏外。日本円は使えない。見たことのない街並み。 そして、魔物という言葉。 主人公は静かにつぶやいた。 「もしかして……。ここ、本当に日本、いやもとの世界じゃないのかもしれない……。」 少女は不思議そうに首をかしげる。 「日本……?」 主人公は剣を見つめる。 「信じられないけど……。もし本当にそうなら、この先何があるか分からないもんね。」 少女は優しく剣を差し出した。 「どうか、お持ちください。きっとこれからお役に立つと思います。」 主人公は少し迷ったあと、両手で剣を受け取った。 「……ありがとう。大切にするよ!」 主人公は小さく息をつく。 「それじゃ、まずはここで使えるお金をなんとかしないとな。」 少女は少し考えたあと口を開く。 「でしたら、この街の旅人ギルドへ行ってみてください。」 「旅人ギルド?」 「はい。」 「旅人や仕事を探している方へ、日雇いのお仕事を紹介してくださいます。今日の宿代くらいでしたら、十分稼げると思います。」 少女は紙へ簡単な地図を書いて渡した。 「この道をまっすぐ進むとあります。」 主人公は地図を大切そうに受け取る。 「本当に何から何までありがとう。」 少女は穏やかに首を振る。 「お気になさらないでください。どうか、お気をつけて。」 主人公も軽く頭を下げる。 「うん。頑張ってみる。本当にありがとう。いつか、ちゃんとお礼をさせてください。」 少女は笑顔で一礼すると、その場を離れ、また一人で歩き出した。主人公も一人ギルドへ向かって歩き始める。 しばらく歩いたところで、主人公は立ち止まる。 「あっ。あの人の名前……聞くの忘れた。」 同じ頃。街を歩く少女も、小さく立ち止まる。 「……不思議な方でしたわ。どこか、放っておけない方でした。あっ、そういえば……。あの方のお名前を伺っていませんでした。」 二人は別々の場所で空を見上げ、小さく笑う。 二人はまだ知らない。これが、二人の長い旅の始まりになることを――。