
月は輝き 花は淡く 今宵も 蒼い宵に 待つ 薄紅の袖に 花を受け 石畳を撫でる 春の風 遠く鐘の音 ひとつ響けば あなたの足音かと 振り返る 何度目の宵かは 忘れました 約束だけは 未だこの胸に 月が満ちて 月が欠けて 花が散って また咲いて 少しばかり 長い宵 桜散る夜に あなたを待つ 月が幾度 満ち欠けようとも この身ひとつ ここで焦がして また逢える日を 信じている 風吹けば 花は乱れて それでも私は ここにいる ただひとつ あなたを想い 今宵も静かに 待っています まだ 微笑みを まだ 背中を あなた 見送った ここで わたしは 鏡に映る この瞳が 少しずつ 輝きを無くし 指先ばかり 冷たくなって 花びらさえ 色あせているようで なのに 胸の奥には 消えぬ焔 青く 白く 音もなく あの日見送った時から 胸に宿った 蒼い炎 それでもきっと 恋なのでしょう 桜散る夜に あなたを待つ 月が幾度 蝕まれても この身ひとつ ここに残して あなたが帰るまで 眠れない 今度こそ その袖を 離さぬように ただ それだけを 願っています 私はおかしくなったのでしょうか この胸に灯るものは 恋と呼ぶには 蒼すぎて けれど もしも恋ではないのなら 私は何を 待っているのでしょう 嗚呼 桜散る夜に あなたを待つ 百の春さえ 過ぎ去ろうとも この身がいつか 形を失くしても あなたの声だけ 忘れはしない 月影に 白く照らされ 足元に蒼い火が揺れる それでも私は あの日のまま あなたが来るまで 終われない 今宵も月は 美しいままで あなたのいない夜ほど 世界を蒼く蒼く染めて

