
Cyber Force 3rd Evolution楽曲募集中 詳しくはこちらのURLを参照 https://suno.com/song/b7a0861c-96d3-4526-800b-38f88dc81ce9 混沌曲のプレイリストはこちら Vol.1 https://suno.com/playlist/7d4c3b67-4d3c-4538-a20d-f03ab313e6fe Vol.2 https://suno.com/song/3d281fd9-7751-4632-ac8e-3b550ce0e741 ストーリー一覧はこちら https://suno.com/playlist/66e4584c-2bd3-47e6-91fb-f42f804c4642 前回はこちら https://suno.com/s/x7V1fYV5HLxB3oVi ---------------------------------------------- 《Three Distortions》 ――あれから、約一か月。 Cyber Net Domain。 ホコロビは、今も各地で発生している。 だが、この一か月に確認されたものの多くは、これまでと同程度だった。 ラクリアは治療と調整を終え、通常任務へ復帰していた。 エルフレアもリオナを伴い、慎重に任務へ復帰している。 ジトリックスとアルヴェイルも、各地の異常へ対応していた。 世界は完全ではないまま、少しずつ日常を取り戻しつつあった。 ――中央管理領域。 DIMEN-TIAは、無数の演算ウインドウに囲まれ、静かに目を閉じていた。 各地のホコロビ反応。世界構造。修復率。権限状態。 あらゆる情報が、同時に流れている。 DIMEN-TIA:「…………」 以前なら、この程度の演算負荷を意識することはなかった。 だが今は、処理の一部にわずかな遅延が生じている。 DIMEN-TIA:「世界維持出力……低下」 数値は、まだ危険域ではない。 それでも確実に、以前より下がっている。 DIMEN-TIAは、胸元へ手を当てた。 そこに定着しつつあるもの。 《慈愛》。 一時的な変化ではない。すでにDIMEN-TIAという存在を構成する、明確な属性となっている。 もともとDIMEN-TIAは、いずれの属性にも属さない無属性のブランクコアだった。 だからこそ、善にも、悪にも、中立にも、混沌にも偏ることなく、世界全体を均等に維持できていた。 だが、《慈愛》が定着すれば、DIMEN-TIAは完全な無属性ではなくなる。 身体も。演算構造も。存在そのものも。 その属性へ適応するように、再構成される。 それは、年齢を重ねることによる成長ではない。 《慈愛》を得たDIMEN-TIAとしての、確実な変化だった。 その時。 中央管理領域の扉が、静かに開いた。 アルヴェイル:「母上」 DIMEN-TIA:「アルヴェイル」 アルヴェイルは、演算記録を手に歩み寄る。 アルヴェイル:「補助演算領域の記録を、確認していただきたいのですが」 短い電子音。 アルヴェイル:「……?」 無機質なシステム音声が、中央管理領域へ響いた。 システム音声: 『ORANGE-CORE』 システム音声: 『定着率――100.00%』 DIMEN-TIA:「…………!」 システム音声: 『属性構造を固定』 システム音声: 『ブランクコア属性状態――解除』 システム音声: 『存在構造の再編成を開始します』 DIMEN-TIAの胸元から、橙色の光があふれた。 光は、瞬く間に全身を包み込む。 身体構造。演算回路。外装情報。 存在を形作る、あらゆる構成データ。 それらが《慈愛》を中心に、一斉に組み替えられていく。 アルヴェイル:「母上……!」 思わず一歩を踏み出す。 だが、強い光に阻まれ、近づくことができない。 DIMEN-TIAの輪郭が、光の中で変わっていく。 一時的な形態変化ではない。 属性の完全定着によって、存在そのものが新たな構造へ再定義されている。 やがて、光が静かに収束した。 アルヴェイル:「…………」 そこに立っていたのは、確かにディメンティアだった。 声も。気配も。存在信号も変わっていない。 だが、その姿は以前とは明確に異なっていた。 わずかな差ではない。 見間違えるはずもないほど、大きく、確実に変わっていた。 アルヴェイル:「……母上?」 ディメンティア:「はい」 ディメンティアは、自らの手を見つめる。 ディメンティア:「再構成が完了したようです」 アルヴェイル:「その姿は……」 ディメンティア:「《慈愛》に適応した、現在の私の構造です」 アルヴェイル:「…………」 ディメンティア:「驚きましたか」 アルヴェイル:「……はい」 変化した姿を、静かに見つめる。 アルヴェイル:「ですが、母上であることに変わりはありません」 ディメンティア:「…………」 ディメンティア:「ありがとうございます」 直後。 別の警告音が、中央管理領域へ響いた。 システム音声: 『警告』 システム音声: 『世界維持出力の低下を確認』 システム音声: 『無属性均衡補正――停止』 システム音声: 『全領域の歪曲抑制率が、規定値を下回っています』 ディメンティア:「…………」 《慈愛》が、完全に定着した。 その瞬間、ディメンティアは完全な無属性ではなくなった。 どの属性にも偏らず、世界を均等に維持していたブランクコアとしての均衡は失われた。 アルヴェイル:「《慈愛》の定着が、世界維持機能へ影響を……?」 ディメンティア:「その可能性は否定できません」 《慈愛》を得たことを、後悔してはいない。 だが、世界を維持してきた構造は確実に変わってしまった。 その時。 甲高い警告音。 一つ。 世界のある地点に、異常反応が発生する。 既存のホコロビとは、比較にならない高エネルギー。 ディメンティア:「高密度ホコロビ反応……?」 直後、二つ目。 さらに、三つ目。 三地点。ほぼ同時。 それぞれが、従来のボスクラスを大きく上回る出力を示している。 アルヴェイル:「これは……!」 ディメンティア:「各反応を再測定」 演算。解析。照合。 結果は変わらない。 三つとも、ホコロビ反応。 だが。 ディメンティア:「形状情報……人型?」 巨大な怪物ではない。複雑な異形でもない。 大きさは、人間とほぼ同じ。 それでも、内部に蓄えられたエネルギーだけが異常なほど高い。 ディメンティア:「全員へ緊急通信」 通信音。 ラクリアのウインドウが開く。 ラクリア:「どうしたの、母さん……って」 言葉が止まる。 ラクリア:「……その姿」 続いて、ジトリックス。 ジトリックス:「ママ?」 ジトリックス:「なんか、すっごく変わってる!」 エルフレアとリオナも、通信へ接続する。 エルフレア:「ちょっと、その姿どうしたのよ!?」 リオナ:「ディメンティア……?」 一瞬だけ、全員の空気が止まる。 だが。 ディメンティア:「説明は後です」 その一言で、全員の意識が即座に切り替わった。 ディメンティア:「三地点で、異常なホコロビ反応を確認しました」 アルヴェイル:「いずれも、従来のボスクラスを上回っています」 ラクリア:「……三つも?」 ディメンティア:「はい」 ラクリア:「ボクも行けるよ」 ディメンティア:「ラクリア」 ラクリア:「もう大丈夫。ずっと休んでたんだから」 ディメンティア:「…………」 ラクリア:「今度は、ボクが行く」 短い沈黙。 ディメンティア:「分かりました」 ジトリックス:「三つあるなら、三人で行けばいいんだね?」 アルヴェイル:「私は、ここへ残ります」 ジトリックス:「え?」 ディメンティア:「アルヴェイル?」 アルヴェイル:「三つの反応がほぼ同時に発生した以上、個別の異常ではなく、世界全体に共通する原因がある可能性があります」 アルヴェイル:「母上。私も解析に加わります」 命令されたからではない。 アルヴェイル自身が、三つの異常の奥に別の原因を感じ取っていた。 ディメンティア:「分かりました」 エルフレア:「じゃあ、アタシが行く」 リオナ:「ウチも行くわ」 エルフレア:「リオナ。一人でも行けるわよ」 リオナ:「ウチも行く」 エルフレア:「…………」 リオナ:「異論は?」 エルフレア:「……ないわよ」 出撃先が決まる。 ラクリア。 ジトリックス。 エルフレアとリオナ。 三地点。 三つの異常。 ――第一地点。 空間が歪む。 ラクリアが、ゆっくりと地面へ降り立つ。 手には《FUTSUNO-MITAMA》。 巨大な蒼の刃。 反応は近い。だが、敵の姿が見えない。 一歩、ラクリアが進む。 その時。 薄暗い空間の奥で、何かが動いた。 人。 そう見えた。 人間と変わらない大きさ。 静かに立ち、ただラクリアを見ている。 ラクリア:「……ホコロビ?」 返事はない。 その視線が、ラクリアの身体を、手にした巨大剣を、構えを、戦い方そのものを確かめるように動く。 ――第二地点。 ジトリックス:「いた!」 長い髪を揺らしながら、ジトリックスが着地する。 目の前には、人間に近い一つの影。 ジトリックス:「キミが、反応の正体?」 沈黙。 ジトリックス:「しゃべらないの?」 影は答えない。 ただ、ジトリックスの髪、黄色と紫の出力、その動き、その癖。 すべてを確かめるように見つめている。 ジトリックス:「…………」 笑顔が、わずかに消える。 ジトリックス:「なんか、イヤな感じ」 ――第三地点。 エルフレアとリオナが、荒れた大地へ降り立つ。 エルフレア:「反応は?」 リオナ:「すぐ近く」 正面。 岩の上に、一人の人影が立っていた。 エルフレア:「……あれね」 リオナ:「人に見えるけど」 エルフレア:「ホコロビよ」 人影が、ゆっくりと顔を上げる。 その視線が、エルフレアへ向く。 赤い装甲。赤い髪。赤い出力。 そして、その奥に残る黒く歪んだ力の痕跡。 エルフレア:「…………」 見られている。 姿を。力を。過去を。 自分が何を恐れているのかさえ、見抜かれているような感覚。 リオナ:「エルフレア」 エルフレア:「分かってる」 構える。 その瞬間。 三地点。 三体のホコロビが、ほぼ同時に動いた。 まるで、接近した相手を。 その姿を。その力を。その存在を。 戦う前から解析し、最も嫌な形へ変わろうとするように。 ――中央管理領域。 ディメンティアは、三つの反応を見つめていた。 その傍らで、アルヴェイルもまた、急速に変化していく数値を静かに追っている。 アルヴェイル:「母上」 ディメンティア:「はい」 アルヴェイル:「この三体は……」 言葉を止める。 まだ、確証はない。 だが、偶然ではない。 ディメンティアの世界維持能力が低下したこと。 その直後に、従来では成立し得なかった三体の高位ホコロビが現れたこと。 すべてが一本の線で、繋がり始めていた。 アルヴェイル:「……いえ。解析を続けます」 ディメンティア:「お願いします」 世界はまだ。 彼女たちが次の戦いへ進む準備を終えるまで、待ってはくれなかった。 ――つづく https://suno.com/s/DEdvLUXLiCe7ZzYD

