
灯りは誰かのために揺れて 僕の影は路地に溶ける 鳴き方さえ忘れたまま 石畳を選んで歩く 名前を呼ばれた気がした あれは誰の声だった? 都合で付けられた音なら いらないと目を伏せた 闇を選んだんじゃない 闇でも歩けるだけだ 消えたわけじゃない ここにいるだけだ 月が割れるほど静かな夜に 伸びる影が揺れる 猫の形じゃ足りなくて まだ名乗らないまま進む 近づけば消える灯り そう思っていたのに 「そこにいる」と落ちた声 胸の奥でほどけた 鳴かなくてもいいと知る 強さじゃなく、事実 夜は僕を拒まない ただ包むだけだ 闇を選んだんじゃない 闇でも歩けるだけだ 消えたわけじゃない ここにいるだけだ 伸びる影は耳を尖らせ 尾を揺らしはじめる 黒のままで構わない 朝へ向かって進む 名を持たぬままでもいい 面を外す日は来る 鳴かない声の奥で 確かな鼓動が鳴る 闇を選んだんじゃない 闇でも歩けるだけだ 夜が終わらなくても 僕は歩いていける 猫の影がほどけていく 朝のふちで揺れる まだ名はない それでもここにいる

