
少し背伸びした夜だった 君は慣れたようにグラスを持つ 似合ってるふりをした僕を 君は楽しそうに笑ってた どうしてそんな優しいのって 聞けば少し考えて ほっとけなかっただけだよって それがなんだか悔しかった 子どもじゃないつもりなのに 君の前じゃ少し足りなくて たった二つ違うだけなのに ずっと大人に見えていた あと少し近づけば きっと触れられたのに 君には大事な人がいる それくらい知ってるのに 期待するなと言い聞かせて 期待してる僕がいた 好きになっちゃ駄目な理由が 近すぎて邪魔だった いつもより甘い声で 君が僕の腕に寄りかかる そんなことされたら困るよ なんて言えるわけもなくて 待ってる誰かの話をする その横顔が好きなのに その人なんて忘れればいい 一瞬だけ そう思った 今ならきっと触れられる そんな距離まで来たくせに ここで僕が手を伸ばしたら 君は誰を想うんだろう あと少し近づけば 何か変わっていたかな キスくらいしてしまえばって 十八の僕は思ってた だけど君が明日の朝 後悔するのは嫌だった 格好つけてるだけだとしても それだけは譲れなかった 僕を選んでほしいなんて 言える立場じゃなかった それでも少しくらい僕を 見ていてほしかった 君の心にいる人が 今夜だけ邪魔だった そんな自分が嫌になって 冷たい風を吸い込んだ あと少し近づけば 本当に触れられたのに 君には帰る場所がある 僕にも分かっていたから 欲しかった でもやめたんだ 綺麗な理由だけじゃない 怖かったし 迷ってたし それでも君が好きだった 大人になったつもりの僕に できたことはひとつだけ 触れたい気持ちを隠したまま 君の隣を歩いていた

