【題:音の緒(おとのを)】 とくとくと 打つは何の響きぞ これは命(みこと)の 脈(みゃく)にあらずや 遠き国の鼓(つづみ)も 近き山の木霊(こだま)も 同じ波にて 揺らぎけり あな 不思議なるかな 言葉なくとも 通ひあふ 声あげずとも 知りゆくは 音の緒(お)にて 結ばるるゆゑ 風は運び 土は応へ 水は巡り 火は灯る すべての音は ひとつにて また無数に 分かれゆく 打てよ 打てよ この鼓を 我と汝(なれ)との 境なくすまで 響けよ 響け この声よ 見えぬ糸を 震はすまで ああ かくりよより見ゆるは すべて繋がる 波の網 名も 姿も 越えゆきて ただ響きのみ 残りけり 汝の音は われに届き われの音は 汝を揺らす それこそ 生くる証(あかし)なり あな尊(たふと)し この交はり 刹那(せつな)にして 永遠なり いざ 鳴らせ 己(おの)が内なる 太鼓を 世界はすでに ひとつなり 音にて 結ばれしゆゑ


