Song Cover Image

Colorless

自己啓発本に感銘を受けた人が 青信号を待っている。 その横を、渡る。渡る。渡る。 誰も止まらない。 信号は瞬いているだけ。 正しさも、正しくなさも、 点滅の間隔に収まって、 誰の目にも映らない。 渡る。渡る。渡る。 誰も止まらない。 信号は瞬いているだけ。 誰の目にも映らない。 転がる地球を追いかけて、 体は階段を一段ずつ跳ねて降りる。 声だけが先に届く。 届いた場所で待っている、と反響音。 一段、また一段。 あの夏を思い出しながら、今日の寒さを憎む。 追いかけているのか、 降りているだけなのか、 振り返らない。底へ、そこへ。 渡る。渡る。渡る。 誰も止まらない。 信号は瞬いているだけ。 誰の目にも映らない。 視界が欠ける。 黒点、ひとつ。 まばたきの裏に残響し、 開いても、一点の夜が晴れない。 黒点が意味の取れない言葉を発する。 反響。 黒点。声。黒点。声。声。 響き合う、響き合う、 大気圏を埋め尽くすまでに 膨らんだ声が天井を探し、 刹那、白になる。 色が失われた鏡面に、すこしずつ青が戻って。 交差点を追い抜いて、信号を放とうとする人、人、人。 届いたと思う。胸が熱くなる。 誰一人気づかずに。 気づかないまま並んで歩いている。 (振り向けば目が合う距離を、 振り向かない。 両想いに)気づかない無法さは、 システムの無自覚にも似て。 雲が消え、影だけが触れた。 すこしずつ青が戻って。