
[Intro] 先輩が言った。 「小学校の男子トイレは日本一きれい」 俺は聞いた。 「掃除のおばちゃんが優秀だったんですか?」 先輩は静かに首を振った。 「違う」 --- [Verse 1] 小学生男子は知っている 人類は皆 う◯こをする 先生も 校長も 総理大臣も プロ野球選手も 平等にう◯こをする だが 小学校だけは違った --- [Hook] ウ◯コマン ウ◯コマン たった一度の排泄で 永久称号 ウ◯コマン ウ◯コマン 本名より先に広まる伝説 --- [Fast Verse] 便所・現場・緊張・潜航 忍者のように沈黙で潜行 巡回・警戒・限界・全開 個室へ滑り込み秒速展開 前方・後方・側方確認 足音一つで即座に退避 警報・通報・情報伝播 男子社会は噂が電波 バレたら終わりだ本名抹消 翌朝教室あだ名が発祥 連鎖・伝播・拡散・炎上 一夜で完成社会的現象 誰が呼んだか知らないが 気付けば全員そう呼んだ それが恐怖のネーミング ウ◯コマン誕生 --- [Verse 2] だから誰も座らない だから誰も認めない だから誰も使わない 結果として 大便器だけが 異常な清潔さを保っていた それは衛生意識ではない 恐怖政治だった --- [Verse 3] あの日 トランセルを捕まえた 俺は考えた 名前とは何か 個性とは何か アイデンティティとは何か そして導き出した ひとつの答えを --- [Spoken] 「お前の名前は……チ◯コだ」 --- [Verse 4] 誰も反対しなかった 誰も止めなかった なぜなら 完璧だったからだ 見た目 フォルム 技構成 全てが噛み合っていた --- [Hook] チ◯コの かたくなる! ぼうぎょが あがった! チ◯コの かたくなる! ぼうぎょが あがった! そこには芸術があった --- [Bridge] だが世界は残酷だった 進化は訪れる 変化は避けられない --- [Spoken] おめでとう! チ◯コは バタフリーに しんかした! --- [Verse 5] 違う そうじゃない 羽はいらない 飛ばなくていい 俺が求めたのは自由じゃない 完成だった --- [Hook] チ◯コの ねむりごな! チ◯コの しびれごな! 何かが壊れていく 何かが失われていく --- [Verse 6] そして気付いた ウ◯コマンも 社長も 部長も チ◯コも 全部同じだった 名前とは事実じゃない 誰かの感想だ --- [Spoken] ジャイアン それはまだ分かる 本人も認めている 本人も名乗る 愛称だ --- [Spoken] だが ブタゴリラはどうだ 冷静になれ --- [Pause] ブタ ゴリラ --- [Pause] 悪口 悪口 --- [Shout] 数え役満だろ!! --- [Verse 7] 体型で一飜 見た目で一飜 雰囲気で一飜 動物二種複合で二飜 逃げ場なし 情状酌量なし 親倍どころの騒ぎじゃない --- [Fast Verse] ラベルじゃねぇだろ名前だろ 感想だけで決めんなよ チビだのデブだのハゲだのと 雑なカテゴライズやめろよ 見た目で決めるな 決め付け閉めるな 人の輪 郷土の法度か? 違うだろもっと奥だろ アイデンティティ ダイバーシティ 聞き慣れた単語の再利用 でも本質は単純明快 「お前はお前」 それ以外ない 肩書き 愛称 通称 呼称 全部まとめてただの包装 中身を見ろよ そこに居るだろ 名前の向こうの人間を --- [Final Hook] 名前は呪いになる 名前は鎧になる 呼ばれるたび 人は少しずつ その名前へ近付いていく --- [Final Verse] 中学へ上がる前 旧校舎取り壊し 新校舎建設 長きに渡る ウ◯コマンの歴史も ここで終わる そう思った --- だが違う 呪いは壁には宿らない 人に宿る --- だから俺は決めた この連鎖を 俺で終わらせると --- 卒業前の昼休み 誰もいない男子トイレ 静かに個室へ入る --- 震える手 鳴り響く心臓 受け継がれるべきではない歴史 --- 俺は いの一番に ウ◯コをした --- 称号はいらない 名誉もいらない 誰かがやらなければならなかった --- [Spoken] 流せ この時代ごと --- [Outro] そして春 新校舎は完成した 白い壁 新品の便器 --- もう誰も ウ◯コマンにはならない そう思っていた --- 二週間後 廊下の向こうで 同級生が叫んだ --- [Last Line] 「おい!! ウ◯コマン来たぞ!!」

