
「心象スケッチ ― 無伴奏のために ―」 Ⅰ 入景 心象は スケッチされる 目に 触れる前に すでに 風景は 動いている 線は 引かれない ただ 現れる Ⅱ 生成 色は 名前を 持たない 光 湿り 速度 それらが 同時に 胸を 通過する Ⅲ 交錯 見る というより 重なる 外の 雲と 内の 呼吸が 一瞬 同じ 形をとる Ⅳ 断層 安定は 存在しない 世界は つねに 変位する それでも 記述は 行われる 震えた まま Ⅴ 語の発生 ことばは 遅れて 来る ああ という 無意味な 音として それで 充分 Ⅵ 非完成 これは 完成ではない 途中 運動 仮の配置》 心象は 保存されず 更新される 終 放出 描かれたのではない 消えなかった ただ 通過した 《心象》は 歌になり 歌は 沈黙へ (無音)

