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ローパスの夜

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V4.5

夜風にまぎれる サイレンの音 ビルの谷 こすれる ネオンの糸 片耳だけで ノイズキャンセル 消せないのは 内側のパルス 自販機の明滅 路面は汗 タクシーの影 雨粒のカセット 信号の青が だれかを急かす わたしは 歩幅で 呼吸を測る アスファルトへ ため息を流し 心拍だけが やけに正直 「だいじょうぶ」って 小さく反芻 喉の奥には まだ 夜が居座る 息は薄くても 鼓動は消えない 胸のノイズ ローパスの夜 数えて 数えて 波を待つ 一 二 三 で 心を開く ミュートにしても 残るハミング 名前のない震えが 中で光る 高架下 眠らない 鉄の鼓動 マンホールの湯気 吐息みたい コンビニのドアが 夜をちぎって だれかの笑いが 胸で反響 行き先のない 軌道の星座 ポケットで震える 未送信メッセージ 足音はビート 街路樹メトロノーム 秒針みたいに 夜を刻む 「帰ろうか」って つぶやきは薄い 窓に映った わたしの顔は 無音 何も落とさないよう 言葉を畳む 沈まないために ただ 浮かぶ 息は薄くても 鼓動は消えない 胸のノイズ ローパスの夜 数えて 数えて 波を待つ 一 二 三 で 心を開く ミュートにしても 残るハミング 名前のない震えが 中で光る 路地の匂い 午前二時の煙 背中で聴いてる 配管の歌 光は薄い 影は優しい 迷子のままで 今日は いい 言葉は棘 ささやきは針 ここでは小さく 生き延びれば いい 息は薄くても 鼓動は消えない 数えて 数えて 波を待つ 一 二 三